隣の席の悪魔【旧版】


二周目。

空は、
少し赤くなり始めていた。

入道雲の端っこが、
夕日に染まってる。

風。

汗。

息。

全部ぐちゃぐちゃなのに。

なんか。

笑ってしまう。

「はっ……
待って……
しんど……」

「無理するから」

空くん、
普通に走ってる。

なんなのこの人。

「だから……
一周って言ったのにー……」

すると。

空くんが、
少しだけ速度を落とした。

「……ほら」

「え?」

「合わせる」

一歩先を走っていた空くんが、
私の隣に並ぶ。

小さい。

でも、
歩幅は大きい。

意地悪。

優しい。

変な感じ。

まだ出会って少しなのに。

昔から知ってるみたいだった。

「空くん」

「なに」

「また走ろうよ」

空くんは、
少しだけ黙る。

そして。

前を向いたまま言った。

「……気が向いたら」
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