隣の席の悪魔【旧版】
◇
夏。
夕方。
セミの声が、
少しずつ減っていく時間。
走り終わる頃には、
空はもう暗くなり始めていた。
「はぁぁ……
疲れたぁ……」
私は校庭のフェンスにもたれながら、
空を見上げる。
その瞬間。
「……わ」
星。
いっぱい。
紫色の空に、
小さな光。
昼間あんなに明るかった空とは、
別の世界みたいだった。
風が吹く。
汗ばんだ肌に、
少しだけ気持ちいい。
「星野」
「ん?」
隣を見る。
空くんも、
夜の空を見上げてた。
珍しい。
ぼーっとしてる。
「空くん、
空見るんだ」
「失礼だな」
「勉強しか興味ないかと思った」
「偏見」
「へへ」
私の小さな笑いのあと。
空くんが、
ぽつりと言った。
「……好きなんだよ」
「え?」
今。
何て――
「星」
空くんは、
上を見たまま言う。
「綺麗じゃん」
あ。
なんだ。
……びっくりした。
「なにその顔」
「別にっ!!」
慌てて目を逸らす。
やばい。
なんか。
変な勘違いした。
すると。
隣から、
小さな声。
「星野の苗字、
お前っぽいな」
「え?」
「星、好きそう」
私は思わず笑った。
「空くんの方が、
空って名前っぽいよ」
沈黙。
風。
遠くで鳴いてる、
虫の声。
「……初めて言われた」
小さく笑う声。
私は隣を見る。
空くん。
少しだけ目を細めてる。
その横顔が、
夜に溶けそうなくらい静かだった。
夏。
夕方。
セミの声が、
少しずつ減っていく時間。
走り終わる頃には、
空はもう暗くなり始めていた。
「はぁぁ……
疲れたぁ……」
私は校庭のフェンスにもたれながら、
空を見上げる。
その瞬間。
「……わ」
星。
いっぱい。
紫色の空に、
小さな光。
昼間あんなに明るかった空とは、
別の世界みたいだった。
風が吹く。
汗ばんだ肌に、
少しだけ気持ちいい。
「星野」
「ん?」
隣を見る。
空くんも、
夜の空を見上げてた。
珍しい。
ぼーっとしてる。
「空くん、
空見るんだ」
「失礼だな」
「勉強しか興味ないかと思った」
「偏見」
「へへ」
私の小さな笑いのあと。
空くんが、
ぽつりと言った。
「……好きなんだよ」
「え?」
今。
何て――
「星」
空くんは、
上を見たまま言う。
「綺麗じゃん」
あ。
なんだ。
……びっくりした。
「なにその顔」
「別にっ!!」
慌てて目を逸らす。
やばい。
なんか。
変な勘違いした。
すると。
隣から、
小さな声。
「星野の苗字、
お前っぽいな」
「え?」
「星、好きそう」
私は思わず笑った。
「空くんの方が、
空って名前っぽいよ」
沈黙。
風。
遠くで鳴いてる、
虫の声。
「……初めて言われた」
小さく笑う声。
私は隣を見る。
空くん。
少しだけ目を細めてる。
その横顔が、
夜に溶けそうなくらい静かだった。