隣の席の悪魔【旧版】


帰り道。

空はもう、
少し暗い。

街灯が、
ぽつぽつ光り始めている。

私は空を見上げながら歩く。

「秋ってさ」

「ん」

「なんか寂しくない?」

空くんは、
ちらっと私を見て答える。

「なんで」

「夕方早いし」

私は笑った。

「夏が終わるって感じする」

沈黙。

風。

金木犀の匂い。

その時。

空くんが、
ぽつりと言った。

「……でも嫌いじゃない」

え。

私は思わず隣を見る。

空くんは、
前を向いたまま。

「静かだから」

……ああ。

なんか、
空くんっぽい。

「空くんって、
ほんと静かなの好きだよね」

「お前がうるさいだけ」

「もう!」

私は思わず、
空くんの背中を押した。

すると。

「はは」

また、
空くんが笑った。

風は涼しくて。

やっぱり、
少し寂しい季節だけど。

胸の奥は、
ほんの少しだけ、
あったかかった。
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