隣の席の悪魔【旧版】


新幹線。

発車。

景色が流れ始める。

「うわーーー!!!」

私は窓の方へ身を乗り出した。

「動いてる!!」

「新幹線だからな」

「速っ!!」

「知ってる。
知ってるから暴れんな」

空くん、
ちょっと笑ってる。

その時。

「つむぎ、
何してるのー?」

前の席の女子が振り向く。

私は高々と、
お菓子袋を掲げた。

「お菓子食べるとこ!」

「朝から?」

「修学旅行だから!」

「つむぎっぽい!」

その隣の葛西くんが、
笑いながら手を伸ばしてくる。

「俺も食う」

「ちょっと!
まだ私も食べてないのに!」

「空も食べたいって」

その瞬間。

空くんが、
ちらっとこっちを見る。

数秒。

そして。

「……食べる」

え。

私は思わず笑った。

「空くん、
お菓子食べるんだ!」

「悪い?」

「意外!」

「偏見」

私は笑いながら、
お菓子を差し出す。

その時。

新幹線が少し揺れた。

「あっ」

バランスが崩れる。

お菓子、
落ちちゃう!

その瞬間。

空くんの手が、
私の手とお菓子の袋を、
同時に掴んだ。

「……また、
危なすぎ」

その時。

葛西くんが、
にやにや笑った。

「保護者、
仕事早」

「うるさい」

ぶっきらぼうに返す空くんに、
私はまた笑った。

新幹線。

お菓子。

笑い声。

窓の外を流れていく景色。

……修学旅行、
始まったんだ。
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