隣の席の悪魔【旧版】


先生の話が終わった瞬間、
ちょうどチャイムが鳴った。

キーンコーンカーンコーン。

待ってました、
休み時間!!!

私は勢いよく立ち上がる。

椅子がガタンッと鳴って、
近くの子が少しびっくりしてたけど、
今は気にしない。

こっちが大事。

私は空くんの机を、
ばんっと叩いた。

「空くーーーん!!!」

思ったより声が出て、
数人がこっちを見る。

でも。

気にしない。

「謝ってーー!!!」

空くんが、
ゆっくり顔を上げる。

めんどくさそう。

「……は?」

「“あほしの”って言った!」

「言ってない」

「言った!」

「証拠は?」

……ぐ。

「顔に書いてあった!」

「意味が分からない」

「とにかく謝って!」

空くんはまた目を細める。

「……いや」

少しだけ。

ほんの少しだけ、
空くんの口角が上がる。

ムカつく。

ムカつくけど。

ちょっと可愛い。

「空くんってさ」

「なに」

「可愛い顔して、
結構意地悪なんだね」

ぴたり。

空くんの動きが止まる。

「……“可愛い”って言葉、
腹立つ」

「なんでー?」

「チビ扱いされてる気分」

私は思わず笑った。

「やっぱり!!
空くんも気にしてるんじゃん!」

「……おい」

少し低くなる声。

でも。

楽しい。

楽しいじゃん!

すっごい楽しいじゃん!

その時。

ガタン。

誰かが空くんの机に腕を置いた。

「どんぐりの背くらべ、
してんの?」

明るい声。

振り向く。

……デカい。

でっっっかい。

ノッポ。

首痛いんですけど。

「誰?」

「葛西浩太。
よろしく、チビ。
同小のやつから聞いた」

「はぁあ!?
誰がチビよ!!」

すると。

空くんが、
ぽつりと口を開いた。

「こいつと俺、
一緒にしないで」

「え?」

「脳みそが違う。
こいつ、馬鹿だから」

「はぁぁぁ!?」

空くん。

それは戦争です。
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