隣の席の悪魔【旧版】


放課後。

雨はさらに強くなっていた。

窓の外は、
真っ白。

グラウンドも、
水たまりだらけ。

「うわぁ……」

私は自分の傘を見る。

よりによって、
折り畳み傘。

絶対濡れる。

その時。

「お、つむぎだ」

後ろから声がして、
振り向く。

同じクラスの男子。

「傘ちっちゃくない?
入ってく?」

「……え、
本気で言ってる?」

「方向一緒じゃん」

男子が傘を広げる。

大きい。

確かに入りやすそう。

「じゃあ――」

その瞬間。

ガタン。

音のした方を振り向く。

靴箱を閉める人影。

空くん。

空くんは無言のまま、
外へ出ようとしている。

「空くん!」

いつものように声をかける。

でも。

空くんは止まらない。

絶対、
聞こえてるはずなのに。

……なんで。

「つむぎ?」

その声に、
私は慌てて男子を見る。

「どうする?」

私はもう一度、
昇降口の方を振り返った。

雨。

空くんの背中。

どんどん遠くなる。

その瞬間。

私は反射みたいに口を開いていた。

「……ごめん!」

「え?」

「やっぱ大丈夫!
ありがとね!」

私は折り畳み傘を掴んで、
急いで空くんを追いかけた。
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