隣の席の悪魔【旧版】
◇
静かになる。
空くんは、
小さくため息をついた。
そのまま歩き始める。
「……帰る」
「あ、待って」
私も慌てて立ち上がる。
その瞬間。
机の脚に足を引っ掛けた。
「うわっ」
前に倒れそうになる。
すると。
どん。
立ち止まった空くんの背中にぶつかった。
一年前と同じ。
私も“同志”も、
少し背が伸びたけど。
「あほ」
前を向いたまま、
空くんが言う。
「うるさい……」
私はぶつけた鼻を押さえながら、
俯いた。
その時。
「……つむぎ」
え。
はっとして、
顔を上げる。
心臓。
うるさい。
空くんは相変わらず、
前を向いたまま。
そして。
少しだけ低い声で言った。
「……俺が呼んだら、
嫌なの」
その声が、
やけに真面目で。
私は小さく唇を噛んだ。
そして。
珍しく、
小さい声で言った。
「……違うもん」
空くんが、
少しだけ振り返る。
私は俯いたまま、
ぎゅっと制服を握る。
「星野って呼ぶの、
空くんだけだし」
心臓は、
相変わらずうるさい。
「だから……」
でも。
言葉が止まらない。
「だから……
誰に呼ばれたか、
すぐ分かるから」
沈黙。
冬の夕方。
静かな教室。
目が合った時。
空くんが、
少しだけ目を細めた。
「……変なやつ」
その声は、
いつもより少し柔らかかった。
窓の外。
冬の夕焼けが、
静かに教室を染めていた。
静かになる。
空くんは、
小さくため息をついた。
そのまま歩き始める。
「……帰る」
「あ、待って」
私も慌てて立ち上がる。
その瞬間。
机の脚に足を引っ掛けた。
「うわっ」
前に倒れそうになる。
すると。
どん。
立ち止まった空くんの背中にぶつかった。
一年前と同じ。
私も“同志”も、
少し背が伸びたけど。
「あほ」
前を向いたまま、
空くんが言う。
「うるさい……」
私はぶつけた鼻を押さえながら、
俯いた。
その時。
「……つむぎ」
え。
はっとして、
顔を上げる。
心臓。
うるさい。
空くんは相変わらず、
前を向いたまま。
そして。
少しだけ低い声で言った。
「……俺が呼んだら、
嫌なの」
その声が、
やけに真面目で。
私は小さく唇を噛んだ。
そして。
珍しく、
小さい声で言った。
「……違うもん」
空くんが、
少しだけ振り返る。
私は俯いたまま、
ぎゅっと制服を握る。
「星野って呼ぶの、
空くんだけだし」
心臓は、
相変わらずうるさい。
「だから……」
でも。
言葉が止まらない。
「だから……
誰に呼ばれたか、
すぐ分かるから」
沈黙。
冬の夕方。
静かな教室。
目が合った時。
空くんが、
少しだけ目を細めた。
「……変なやつ」
その声は、
いつもより少し柔らかかった。
窓の外。
冬の夕焼けが、
静かに教室を染めていた。