試してみない?私と一緒に

第1話 落とし物

私は至って普通の中学生。左目を隠すように伸びた前髪が特徴的なショートカット。髪質はちょっと天パで明るい性格とは言えないかも。真面目でピュアとよく言われるけどしばらく学校の制服は着ていない。朝起きたら自分の部屋が私の砦。もちろん午後は散歩する。この地域は住宅街や飲食に関わる施設やショッピングモールなどが立ち並んでいて飽きない。加えてちょっと田舎なのも丁度いい。
さて、ここまで聞いて気付いたことがあります。
私は。
全然普通の高校生じゃなかった!
とある事件がきっかけで中学1年の序盤から不登校になりました。ママも担任の先生も心配して事情を聞き出そうとするけど、常に黙秘してます。だから、先生が家に訪問してくる16時はいつも無言の戦いをしています。我ながら辛抱強いと感心しております。ちなみにパパはもういません。私が小学生になる前に離婚したとのこと。でも、月に一回は電話する仲でございます。パパがママと話す時は未だに張り詰めてしまうけどね。
さて、当たり障りのない日々をなんだかんだ1年過ぎ、2年生となりました。
(このまま大人になっちゃうのかな?)といつもの住宅街を歩いていると、赤い制服を着た金髪女とすれ違いました。住む世界が違う、わからない恐怖心からか、目を合わせないようにすれ違うと学生鞄から物を落としました。下を見ていた私はその物の存在に気付くことができました。ただ、金髪女は気付かぬままその場を去っていきます。善意に任せて思いっ切り振り返って思いっ切り声を掛けて見ました。初対面の他人に対して自分から声を掛けたのは初めてです。寿命が10年縮んだ気がします。
「あの!……落としましたよ!」
金髪女は立ち止まり、振り返ります。
「ありゃ、すいません。」
とても整った美人さん。アイドル寄りでしょうか?とはいえ眩しかったです。金髪ちゃんは側まで寄って緑色のキーホルダーを拾いました。
「ありがとうございます。助かりました。」
ベコっと感謝されて何と返せば良いか迷っているとキーホルダーに目が向く。
(このキーホルダー、……グネグネスライムの!?)
「グネグネスライムの!?」
思いは口に出ていました。
「えっ?……あなたも好きなの!?」
夕方に泣くカラスはいつもより静かに鳴いていた。風の吹く音が聞こえてきた。
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