試してみない?私と一緒に
第5話 自分を知る強さ
翌日、以前と同じ公園で、同じ時間で、同じベンチで、川中愛を待っていた。
下校からそのまま寄ってきた愛は赤い制服姿のまま手を振って来た。グレーのパーカーを着た私は、小さく手を振りかえす。
「久しぶり!マイきゅん!」
「うん。久しぶり。愛。」
名前を呼んだ途端、愛は驚いた顔をした。が、すぐにはいつもの明るい表情に戻った。
「で、どうだった?セックス動画とやらは?」
ニヤつきながら隣へ座る。
「うん。沢山知れて勉強になった。初めて自慰行為もしたし。」
「ま!オナニーしたんだ!きゃー!!妄想誰?誰?」
「……女性。」
「え?」
固まる愛に私はこくんと頷く。
「私、同性が好きみたい。」
「WOW」
「別に男性が気持ち悪いとか決してなくて、むしろカッコいいなあと思うんだけど、やっぱり攻めたい、愛したいのは同性みたい。何か、期待外れでごめんなさい。」
以前より強まった秋風が身体全体を靡かせる。草がオレンジ色の空に向かって宙を舞う。
これで嫌われたら諦めよう。彼女に対する気持ちも。
これで。
「良かったじゃん。」
「……え?」
良かった?
「マジで良かったじゃん。」
「え?ええ?良いこと、なの?てっきり少数派に入るから差別されるかと。」
「そんなことする訳ないじゃん!むしろ、早いうちから自分を知れたのが良かったのよ。」
「自分を知れた…。」
愛はオレンジ色に染まった空を見上げる。
「同い年のあーしが言うのも変だけど、社会は思った以上に残酷よ。確かに昨今は同性や障害に対する偏見は減ってきている。けど、それは自分を知ってなきゃいけない。でないと、湧き出る苦しみを回避することすらせず、助けを求めることすら躊躇して、孤立するのよ。ましてや、情報が発達した現代でさえ、自分から知る行動を起こさなければ知れない。加えて間違った情報も流れる。結局、変わらないものよ。」
イマイチ全容を理解したとは言い難いが、なんとなくわかった気がする。愛の真剣な表情を初めて見た。きっと愛も何らかの形で孤立を経験してきたに違いない。でなければ、ここまで真摯に向き合って話すことはしない。
「マイきゅん。」
「うん?」
「実際に、試してみない?私と。」
「何を?」
「セックス。」
下校からそのまま寄ってきた愛は赤い制服姿のまま手を振って来た。グレーのパーカーを着た私は、小さく手を振りかえす。
「久しぶり!マイきゅん!」
「うん。久しぶり。愛。」
名前を呼んだ途端、愛は驚いた顔をした。が、すぐにはいつもの明るい表情に戻った。
「で、どうだった?セックス動画とやらは?」
ニヤつきながら隣へ座る。
「うん。沢山知れて勉強になった。初めて自慰行為もしたし。」
「ま!オナニーしたんだ!きゃー!!妄想誰?誰?」
「……女性。」
「え?」
固まる愛に私はこくんと頷く。
「私、同性が好きみたい。」
「WOW」
「別に男性が気持ち悪いとか決してなくて、むしろカッコいいなあと思うんだけど、やっぱり攻めたい、愛したいのは同性みたい。何か、期待外れでごめんなさい。」
以前より強まった秋風が身体全体を靡かせる。草がオレンジ色の空に向かって宙を舞う。
これで嫌われたら諦めよう。彼女に対する気持ちも。
これで。
「良かったじゃん。」
「……え?」
良かった?
「マジで良かったじゃん。」
「え?ええ?良いこと、なの?てっきり少数派に入るから差別されるかと。」
「そんなことする訳ないじゃん!むしろ、早いうちから自分を知れたのが良かったのよ。」
「自分を知れた…。」
愛はオレンジ色に染まった空を見上げる。
「同い年のあーしが言うのも変だけど、社会は思った以上に残酷よ。確かに昨今は同性や障害に対する偏見は減ってきている。けど、それは自分を知ってなきゃいけない。でないと、湧き出る苦しみを回避することすらせず、助けを求めることすら躊躇して、孤立するのよ。ましてや、情報が発達した現代でさえ、自分から知る行動を起こさなければ知れない。加えて間違った情報も流れる。結局、変わらないものよ。」
イマイチ全容を理解したとは言い難いが、なんとなくわかった気がする。愛の真剣な表情を初めて見た。きっと愛も何らかの形で孤立を経験してきたに違いない。でなければ、ここまで真摯に向き合って話すことはしない。
「マイきゅん。」
「うん?」
「実際に、試してみない?私と。」
「何を?」
「セックス。」