トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
夜。

先に帰った日は、私がご飯を作る。

遅くなる日は、陽貴くんが「帰ったら食べて」ってメモ付きでご飯を用意してくれてる時もあった。

『ちゃんと全部食べること』

そんな一言に、自然と笑ってしまう。

疲れて帰ってきても。

「おかえり」

って抱きしめてもらえるだけで、全部吹き飛ぶ気がした。

ある日の深夜。

フライト対応で帰宅が遅くなった日。

静かに家へ入ると、リビングの電気がついたままだった。

ソファには、台本を開いたまま眠っている陽貴くん。

私はそっと近づく。

……寝顔、綺麗。

疲れてるはずなのに、待っててくれたんだ。

胸がぎゅっとなる。

すると。

「……紗凪?」

薄く目を開けた陽貴くんが、私を見る。

「おかえり……」

掠れた寝起きの声。

その一言だけで、どうしてか泣きそうなった。

「ただいま」

そう返した瞬間。

陽貴くんが眠そうなまま腕を伸ばしてくる。

「こっち」

「え?」

「充電」

思わず笑ってしまう。

私はそのままソファへ座った。

するとすぐに、ぎゅーっと抱きしめられる。

「……頑張ったね」

耳元で落ちる優しい声。

張り詰めていたものが、一気にほどけていく。

私はそっと陽貴くんへ寄りかかった。

「……うん」

ぽつりと零すと。

陽貴くんが黙ったまま髪を撫でてくれる。

「紗凪」

「ん?」

「頑張りすぎないでね」

その声があまりにも優しくて。

私は小さく笑った。

「陽貴くんもね」

そう返すと、陽貴くんが少しだけ目を細める。

「……幸せ」

またそんなことを言う。

でもその言葉を聞くたび、ちゃんと幸せになる自分がいた。

忙しくても。

会えない時間が増えても。

きっと大丈夫。

そう思えるくらい、私たちはちゃんと“恋人”になっていた。
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