声、好きです。……って告白じゃなかったのに!?

「……まな」


名前を呼ぶ彼の声が、私の胸の奥で心地よく反響する。
腕の中から顔を上げた彼は、まるで宝物を壊さないように慎重な、けれど熱い眼差しを私に向けていた。


「はい」

「……俺と、付き合ってくれる?」


その問いに、迷いはなかった。出会ったきっかけは画面越しの声だったかもしれない。

けれど今、私は彼にとって欠かせない存在になっていて、私もまた、彼がいないとどうしようもない人になっていた。


「もちろんです。綾人くんなら、喜んで」


私がそう答えると、スっと体が離れる。
目の前の彼は、今までに見たことがないくらい、子供みたいに無邪気で、嬉しそうな顔をしていた。

その笑顔を見た瞬間、私の胸も温かな幸福感で満たされる。

配信者とリスナーという一線を超えた先に待っていたのは、想像もできないほど甘くて切実な、二人の新しい世界の始まりだった。


「どこにも行かないで。大好きだから」


お昼の12時を回った頃。
甘く切実なそのセリフとともに、彼から愛情たっぷりのキスが降りかかる。


まだ、体を重ねるには早い時間。
けれど、想いを通じ合わせたばかりの私たちにとって、この高鳴る鼓動をキスだけで終わらせる理由はどこにもなかった。


「……まな、愛してる」


熱い吐息とともに紡がれる、彼だけの特別な声。
ゆっくりとベッドに沈んだ私の体は、彼の手によって、声によって、隅々まで丁寧に愛されていく。


窓から差し込む柔らかな光の中で、溶け合う二人の体温。
画面越しの憧れだったその声は、今、私を甘く、深く支配する現実の愛となった。


【声、好きです。……って告白じゃなかったのに!?】

-end-
< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop