声、好きです。……って告白じゃなかったのに!?
【俺もまなの声、めっちゃ好き】
【ごめん、前にちょっとだけ配信してたとき、気になってサブ垢で聞いてたんだ、まなの配信】
「っ……!!」
ききききき、聞かれてた……っ!!!
画面越しに憧れていた推しが、私の声を好きだなんて。そんなこと、天地がひっくり返ってもありえない。
あまりの衝撃に、返信どころか呼吸の仕方も忘れそうになる。混乱して固まっている私の元へ、追い打ちをかけるように彼から新しいメッセージが届いた。
【でも、もう配信はしないで。これからは俺だけが聴ければいい】
【まなの声、もう誰にも聞かせたくない】
「……えっ」
スマホを持つ手が、がたがたと震え出す。
画面に並んだ独占欲の塊のような言葉。
優しくて癒やしをくれる彼の声が、今は私のすべてを縛り付けようとしている。
私は火を吹くように熱い顔を両手で押さえながら、慌てて返信を打ち込んだ。
【気まぐれで少しした配信が聴かれていたなんて、恥ずかしいです……】
【もう配信はしないです。上手く、話せないので】
よし、これで大丈夫。
これなら、いつも通り彼のリスナーとして、当たり障りのない返事ができているはず。
高鳴る鼓動をなだめ、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。
けれど、そんな私のささやかな抵抗など、彼は最初から許すつもりなんてなかったみたいで。
「……っ!」
スマホが激しく震える。
届いたのは、メッセージではなく——。
画面いっぱいに表示された「着信」の文字と、愛しくてたまらない彼の名前だった。
「……ううん、これは誤タップだ」
自分に言い聞かせるように、小さく呟いた。
手を滑らせるか何かして、きっとメッセージ画面の上にある電話マークを、うっかり押してしまっただけ。
大丈夫。間違いに気づけば、すぐに切れるはず。
……そう思っていたのに。
耳を塞ぎたくなるほど鮮やかな着信音は、五秒経っても鳴り止まない。
十秒、十五秒。
無慈悲に響き続けるその音が、私の淡い期待を一つずつ塗り潰していく。
さすがに、間違い電話……では、なさそうだ。
画面に浮かぶ彼の名前が、まるで私を追い詰めるように、激しく、何度も明滅を繰り返していた。