声、好きです。……って告白じゃなかったのに!?
「さすがに……こんなにコールされているのに出ないのは、失礼、だよね……」
自分を納得させるための言い訳を口にして、私は震える指先で通話開始のボタンを押し、スマートフォンを耳に当てた。
「あっ、やっと出たー! 遅いよ、まな」
耳元に直接響いたのは、私の大好きな、あの優しい声。
画面越しではなく、今、この瞬間、私のためにだけ発せられた特別な音色。
誰にも邪魔されない、私と彼だけの閉ざされた空間——。そう自覚しただけで、口から心臓が飛び出しそうになる。
「まっ、間違い電話だと、思ったので……」
「あはっ、間違いじゃないよ。それに、声震えてる。……嫌だった?」
少しだけ低く、温度を帯びた声が鼓膜を震わせる。
「ちっ、違います、嫌とかじゃなくてっ……。ただ、緊張してしまって」
必死に否定する私の声は、自分でも驚くほど上ずっていた。
「なんだ、緊張か。急にまなの声が聞きたくなってかけたけど、嫌われたらどうしようかと思った」
「それは、こちらのセリフですっ……」
安心したように息をつく彼の声。
けれど、ふと疑問が浮かんで、私は壁にかかった時計に目をやった。時刻は22時を回っている。
いつもなら、彼が配信を始めているはずの時間なのに。
「あ、あの……今日は配信、しないんですか……?」
「ん?ああ、今日は仕事だからね。夜勤。休憩中だからかけてみたの」
さらりと、彼はそう言った。
貴重な仕事の休憩時間に、わざわざ私に電話をくれた。
その事実が、ただのリスナーの枠を超えてしまっている気がして、さらに顔が熱くなる。
「貴重な時間に、すみません……」
「謝らないでよ。まなの声聞いて、癒やされたかっただけなんだから」
受話器越しに聞こえる彼の声は、配信の時よりも少しだけリラックスしていて、その特別さが私の胸を激しく揺さぶった。