声、好きです。……って告白じゃなかったのに!?

「どう? 会ってみて、幻滅してない?」


少しだけ首を傾けて覗き込んでくる彼に、私は慌てて首を振った。


「してません、するわけないです!そんなこと言ったら、私の方こそ……っ」

「幻滅なんて、俺もしてない。逆に、好きが増したくらい」


言いかけた私の言葉を遮るように、彼の細い人差し指がそっと私の唇に置かれる。


「……っ」


言葉は喉の奥に引っ込み、息が止まる。
冬の朝の空気の中で、私の唇は冷え切っているはずなのに。

触れられたそこだけが、火がつくような熱を持っているように感じた。


「そんなに不安そうな顔しないで。……俺、本気だって言ったでしょ?」


指先から伝わる体温と、耳元に届く優しくて甘い声。
その両方に囚われて、私はもう、彼を見つめ返すことしかできなくなっていた。


「でね、本題なんだけど」


少しだけ真剣な響きを帯びた彼の声に、私は姿勢を正した。唇に触れていた彼の指が離れ、代わりに熱を帯びた視線がまっすぐに私を射抜く。


「……はい」

「単刀直入に言うね。まなには、俺の部屋に引っ越してきてほしいんだ」

「……え?」


思考が完全に停止した。
今、この人はなんて言ったんだろう。

「会いたい」の次は「一緒に住みたい」?
あまりに現実離れした提案に、私はただ呆然と彼を見つめることしかできなかった。


「俺、夜勤も多いからさ。まなの声がいつでも隣で聴ける環境にしたいんだ。……だめかな?」


少しだけ困ったように眉を下げて、彼は「癒やしボイス」で追撃してくる。それは、拒絶することなんて許さない、甘くてずるい命令だった。
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