好きになった人は、みんなのアイドルで 3

26話 チョコレート

……つ、つかれたー!

だいぶ運転には慣れてきたと思ったのに、
教習所の外に出ると全然違う。

「お疲れだねえ」
ミルクティーの缶が置かれる。

「あ、ありがと海斗くん」
……前にもこれ、やってくれた。
私、やっぱり顔に出すぎ?
もっとポーカーフェイスの良い女にならないと。

「やっぱ路上出ると疲れるなー」
「教習所の中走ってた時と全然違う」

「え、海斗くんでもそう思う?」

「うん、そりゃそうだよ」
「運転するの初めてだもん」

「……良かった」
「私が運転下手くそだからかと思ってた」
海斗くんでも疲れるなら、ちょっと安心した。

「あんまり根詰めちゃだめだよ」
チョコレートまでくれる。

「あんまり餌付けしないでってば」
笑ってチョコレートを1粒食べる。

チョコレートは甘くて、疲れが消えてくみたいだった。
……海斗の優しさがいつの間にか当たり前になっていることに、
紬はまだ気づいていない。
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