好きになった人は、みんなのアイドルで 3

34話 悪夢

ーー悠太郎サイド

絶望だった。
デビューだけを見て、半年韓国で頑張ってきたのに。
碧と一緒に、デビューできると思っていたのに。

「……これから、どうする?」

「もう、ここにはいられないだろ」
碧が呟く。

このまま事務所に留まっても、デビューできる保証は無い。
もう少し韓国に留まって大手事務所を受けるとか、そういう選択肢もあるけど。

何も考えたくなかった。
ただただ、皆にどうやって報告したらいいか、それしか考えられなかった。

「……荷物、まとめなきゃなんないのか」
碧がベッドでうずくまる。

退社するなら、寮にももういられなかった。

韓国生活が長くなることを考えて、東京のアパートは引き払っていた。
日本に帰っても、帰る場所は実家しか無かった。
紬ちゃんは泊めてくれるだろう。でも今は会いたくなかった。

……母さんに、なんて報告しよう。

……そうだ、夢だ。これは悪い夢だ。
朝起きたら、酷い夢を見たと碧に話そう。

腕をつねると痛かった。
そんなわけないだろ、と何度も何度もつねった。
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