好きになった人は、みんなのアイドルで 3

35話 デビュー

「新しいアイス出てる!」
「お、俺これにしよ」
「私、これ」

ひょいっと選んだアイスを取り上げられる。

「ねえ、やめて。たまには私に払わせてよ」
「俺より運転上手くなったらいいよ」
「なにそれ、意地悪。一生払えないじゃん」

たまにこうやってアイスを買いに来ると、いつも海斗くんが払ってくれる。

「来週には卒検受けるでしょ?」
「うん、頑張るつもり」
「そしたら卒業だねえ」
「そうだねえ」

海斗くんとこうやってコンビニに来るのも、あと少しか。
せっかく仲良くなったのに。……寂しいな。

「俺と会えなくなるの、寂しいとか思ってる?」

「え?ちょっとね」
図星だったのが恥ずかしくて誤魔化す。

「へえ、嬉しい」

悠太郎くんと付き合っていなかったら、
こういう人と付き合っていたのかもしれない。

普通にコンビニに行って、アイスを食べながら帰る。
悠太郎くんがデビューしたら、手に入らない生活。

……それでも私は、悠太郎くんが良かった。
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