好きになった人は、みんなのアイドルで 3

36話 母

ーー悠太郎サイド

「もしもし?」
「悠太郎から電話かけてくるなんて珍しいね」
「どうしたの?」

意を決して母さんに電話を掛けたものの、言葉が出てこない。

「……どうした?」

言葉より先に、涙が出てしまう。

「……悠太郎?」

「……ごめん、ダメになった」
デビューできなくなった、とは言えなかった。

「そっか」
理由を聞かれると思ったけど、母さんはあっさりしていた。

「うん、ごめん」

「日本に帰ってくるの?」

「……帰ろうと思ってる」

「じゃあ、帰る日決まったら教えて」
「悠太郎の好きな物作って待ってるから」
「家に帰って来なさい」

「……ごめん」

「謝ることないよ。またゆっくり考えたらいいんだから」

「うん……母さん、ありがと」

電話を切る。 ほっとして、涙が止まらなくなる。

こんなかっこ悪いところ、紬ちゃんには見せられない。
……日本に帰ること、紬ちゃんには連絡できそうになかった。
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