好きになった人は、みんなのアイドルで 3

41話 そのままで

ーー悠太郎サイド

実家に帰ってきて1週間。
ほぼ家から出ず、ぼーっとして過ごしていた。

何を考えるのも、何をするのも億劫だった。

家族は嘘みたいに優しくて、それが嬉しくて、痛かった。

……紬ちゃんには、連絡できていない。
もう免許取れたのかな。
2週間もLINEを返していない。
こんなんじゃ、嫌われる。

でも、嘘をついて韓国にいることにはできなかった。
LINEを返すなら、帰国したことを言いたい。
……いや、言えない。

トントン
姉ちゃんが入ってくる。

「……なに」

「いやー、私さ、アイドル目指してる悠太郎が自慢の弟なのよ」

「なに、急に」

「でもさ、アイドル目指してなくても、自慢の弟なのよ」

「……え、なに」

「そのままで最高ってこと」
「お昼だって。お母さんが呼んでる」

泣きそうになった。
アイドルになれなかった自分には、何の価値も無いような気がしていた。

「姉ちゃん、ありがと」

紬ちゃんにはまだ言えない。
それでも、逃げているだけじゃダメだと、ぼんやり思った。
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