好きになった人は、みんなのアイドルで 3

48話 合わせる顔

ーー悠太郎サイド

部屋で何をするわけでもなくぼんやりとしていた。
紬ちゃんには、まだ連絡できていない。

大学ももう、始まったよな。
免許も取って、皆で飲みに行って、俺がいなくても紬ちゃんは。

どこにも進めていない俺に、紬ちゃんに合わせる顔なんてない。

トントン
「悠太郎、朝比奈さんって子が来てるわよ」

……え。紬ちゃん?
東京から、ここまで?
ていうか、なんで。

「こないだ言ってた彼女でしょ?」
「とっても感じの良い子じゃない」

そうだよ。絶対、母さんも好きになると思ってた。
……いや、今そんなことはいいから。

「会わない。帰ってって言って」

「……心配して、東京から来てくれたんでしょ」
「顔くらい見せてあげなさい」

「……無理。会えない」

「帰っちゃっても、後悔しないの?」

後悔なんて、するに決まってる。
……でも。

「ごめん、会えない」

「分かった」
母さんが階段を降りていく音がする。

……紬ちゃん、ごめん。
わざわざ会いに来てくれるなんて。
でも、俺……どう考えても、合わせる顔が無かった。
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