好きになった人は、みんなのアイドルで 3

56話 レモネード

「化粧直してく?」
悠太郎くんが笑って聞く。

「え?そんなに酷い顔してる?」
鏡を見ると、ほんとに酷い顔。

「メイク落としも、化粧品も一通りあるよ」

「ありがと」
うん、アイドルだもんね、とは言えなかった。

化粧を直して振り向くと、キスをされる。

「ごめん、もう離れたくないわ」

「ごめん禁止だってば」とキスをしてから
「……しばらく実家にいるの?」と聞く。

「うん……復学も、考えてはいるけど」

「ゆっくり考えたらいいよ」
「私もまた、会いに来るし」

「俺も、会いに行く」
「近いうちに蓮と拓海にも話したいし」

「そだね、ちゃんと自分で話した方がいいよ」

「分かってる」

「長居しちゃった、お母さんも心配してるよね」
立ち上がる。

「俺も行く」
二人でリビングに降りていく。

「すみません、長居してしまいました」
と悠太郎くんのお母さんに声を掛けると

「喉乾いたでしょ、どうぞ」
とレモネードを出される。

「すみません、ありがとうございます」
「いただきます」
ひとくち飲む。
「……美味しい」
これ、自家製?すごく美味しい。

「母さんがいつも作るの。美味いでしょ」

「ほんとに、すごく美味しいです」

「朝比奈さん、お夕飯も食べて行って」

「いえ、帰ります」
「明日も朝から授業あるので」

「そうなの?」
「残念、結衣も会いたがってたのに」

「姉ちゃんに余計なこと言わないでね」

「余計なことって何よ」

「レモネード、ご馳走様でした」
「あと、急に押し掛けてすみませんでした」

「朝比奈さん、また来てね」

「……駅まで送る」
「着替えてくるから待ってて」
< 56 / 100 >

この作品をシェア

pagetop