好きになった人は、みんなのアイドルで 3

63話 朝倉家

ーー悠太郎サイド

「金土、紬ちゃんの家泊まるから」
確かに報告した。うん。……で、これなに?

「ねえ、これ……なに?」

「紬ちゃんに持ってきなさい」

神戸プリン、観音屋のチーズケーキ、ユーハイムのバウムクーヘン、モロゾフのチョコ、神戸風月堂のゴーフル。
この時点で多いけど、まだ分かる。

「アルフォートは、東京でも買えるかな」

大袋のお菓子が、アルフォート、ホームパイ、歌舞伎揚。あと、なんでじゃがりこまで。

「紬ちゃん、甘いものとしょっぱいものどっちが好きか分かんなかったから」

「そんでこれも?東京のスーパーで買えるから」

レトルトカレー、炊きごみご飯の素、パスタソース、鍋つゆ、顆粒だしが数種類。

「だって紬ちゃん自炊するんでしょ?」

「そうだけど……」
「紬ちゃん喜ぶかもしれないけど、でも」

母さんの作ったレモンシロップとジャム、パウンドケーキ……ねえ、このタッパには何入ってんの?いくつあんの?

「俺、こんなに持てない」

「あらやだ、悠太郎が持つこと考えてなかった」
「紬ちゃん家に、送る?」

悪びれない様子の母さんと姉ちゃん。

「母さんも姉ちゃんも、こんな持ってったら紬ちゃん困るでしょ」
「ちょっとは考えてよ」

「……プリンとゴーフルはね、お父さんが買ってきたの」
ねー、と二人で顔を見合わせて笑う。

「……持てる量に考え直して」

「これは絶対要るよねー」
「これも要るでしょ」
と二人とも引かない。

「東京で買えるものは要らない!」
「神戸土産と母さんの手作りだけ持ってくから!」
「……あとはもう、送るなりなんなり好きにしてよ」

「もう娘みたいなもんだしね」
「送ろ送ろ、悠太郎、住所教えて」

嬉しいような恥ずかしいような、変な気分だったけど
これが全部届いたら、紬ちゃんは笑ってくれるだろうなと思った。
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