好きになった人は、みんなのアイドルで 3

66話 名前

「かんぱーい!」
初めての5人での飲み会。

ここに悠太郎くんがいる。
ずっと、いてほしかった。

「まずは、心配かけてごめん」
「デビュー白紙になって、日本に帰ってきてた」
「言えなくてごめん」

悠太郎くんが頭を下げる。

「……いいよ」
「紬ちゃんの見たことない顔見れたし」
蓮くんが笑う。

「俺はお前が日本帰ってきてくれて嬉しいよお」
ビールをグイッと飲む拓海くん。

「ごめん、この場に私まで混ぜてもらっちゃって」
栞が遠慮がちに言う。

「いや、栞さんの話、紬ちゃんからよく聞いてます」
「栞さんとも話してみたかったんで」

「お前、紬ちゃんのことは最初から紬ちゃんだったじゃん」
「ていうか、いつまで紬ちゃん呼びなわけ?」

「呼び捨てしろ、呼び捨て!」

拓海くんと蓮くんに茶化される。

「……紬」

初めて呼び捨てされる。
耳まで赤くなるのが分かる。

聞き慣れている自分の名前なのに、自分の名前じゃないみたい。

「……はい」
小さく返事をしたら、悠太郎くんが笑った。

「可愛いね、紬」
……悠太郎くんが、知らない男の人みたい。
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