好きになった人は、みんなのアイドルで 3

90話 海みたいに

「もう大丈夫」
パーカーから顔を覗かせると

「泣いた人の顔じゃん」
と笑われる。

「……だって泣いたもん」

「紬ちゃんもさ、頑張りすぎ」

「……え?」

「紬ちゃんがそんなに必死になってたらさ、彼氏も必死になっちゃうよ」
「紬ちゃんは、どーんとでっかく構えてればいいじゃん」
「海みたいに」

「……海」

「そう、海はね、全部受け止めてくれるよ」

海斗くんにも、知らない苦労や悲しみがあるんだろう。
なんか、それを乗り越えたみたいな顔してた。

「それでもしんどくなったら、俺のとこ来ればいいよ」
ハハッと明るく笑うから、つられて笑う。

「……行かないもん」

「ごめん、下心とか抜きに、普通に友達として」
「……頼る相手は複数いた方がいいよ」
「共倒れになるから」

「……うん、ありがと」

「紬ちゃん、インスタ交換してよ」

「インスタ?いいよ」

インスタのアカウントを交換する。

「これでいつでも紬ちゃんの私生活が見れるぜ!」

「……投稿するのやめようかな」

気が付いたら笑っていた。
……海斗くん、ありがとう。
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