好きになった人は、みんなのアイドルで 3

95話 伝家の宝刀

「今、電話できる?」

「できるよ」

返すとすぐに電話がかかってくる。

「土曜、バイト代わってもらえたからゆっくり会えるよ」
「日曜はごめん、午後からどうしても受けたいレッスンあるんだ」
「だから、金曜の午後から、日曜の午前までだけど」

「時間つくってくれてありがとう」
無理矢理にでも行くって言って良かった。
ちゃんと休んでくれる。

「……シフト、店長に相談してちょっと減らすことにした」

「え?」

「俺、ちょっと頑張りすぎてた、かも」

「うん」
「頑張りすぎちゃうとこも含めて好きだけど」
「心配だから」

「ありがと」
「でもレッスンは、ごめん、受けたいのたくさんあるんだ」

「うん、良いと思う」

私が肩の力抜けたから、悠太郎くんも少し楽になれたかな。
確かに、私たちはいつもお互いのことでいっぱいになってしまう。

「ごめん、これからはちゃんと連絡もするから」

「寝落ち禁止だからね」

「ごめん」
悠太郎くんが本当に申し訳なさそうな声を出す。

「悠太郎、大好き」

「……伝家の宝刀みたいなの、やめてよ」

二人で笑う。

「来週楽しみにしてる」

「あ、家に泊まりなよ」
「お金もったいないし」

「……そんな、家族でもないのに、申し訳ないよ」

「うちの家族ね、もう家族として紬のこと迎える気満々だよ」

「なにそれ」

恥ずかしかったけど、嬉しかった。
……でも、ほんとにいいのかな。
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