敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
言葉にした途端、胸の奥がきゅっと詰まった。
あのときの気持ちは、今でもはっきりと思い出せる。
「でも、私には……恋愛をする余裕がありませんでした」
久登は何も言わず、ただ静かに頷いた。
急かす様子もなく、花梨の話を遮ろうともしない。その態度に、少しだけ肩の力が抜ける。
「それでも……あなたと一晩を過ごしたとき、少しだけ、夢を見てしまいました」
口にするつもりはなかった本音が、自然とこぼれた。
「このまま、どうにか一緒にいられる未来はないかって……」
花梨は顔を上げ、久登を見る。彼は驚いたように息を止めたが、視線を逸らさなかった。
「でも……あなたに婚約者がいると知って。やっぱり、夢を見てはいけないと思い直したんです」
喉の奥が痛むのを堪えながら、花梨は必死で言葉を紡いだ。
「それが……私が、あなたの前から消えた理由です」
久登はしばらく黙っていた。やがて一歩近づき、迷うような間を置いてから、そっと花梨を抱き寄せる。
「そうだったのか。本当に、ひとりで抱え込ませてしまって……申し訳なかった」
その腕の中は、思っていたよりも温かかった。花梨は小さく首を横に振る。
「いいえ。久登さんのせいではありません。あのときは……そうするしかなかったから」
抱きしめる腕に、少し力がこもるのが分かった。久登の体温が、花梨の緊張を少しずつ解いていく。
「その後、父も祖母も、立て続けに亡くなって……何もかも失ったような気持ちでいたときに、妊娠が分かったんです」
久登の体が、わずかに強張ったのが分かる。花梨も伝染するように緊張したが、一度息を整え、はっきりと告げる。
「――私の息子たちは、久登さんとの子です」
あのときの気持ちは、今でもはっきりと思い出せる。
「でも、私には……恋愛をする余裕がありませんでした」
久登は何も言わず、ただ静かに頷いた。
急かす様子もなく、花梨の話を遮ろうともしない。その態度に、少しだけ肩の力が抜ける。
「それでも……あなたと一晩を過ごしたとき、少しだけ、夢を見てしまいました」
口にするつもりはなかった本音が、自然とこぼれた。
「このまま、どうにか一緒にいられる未来はないかって……」
花梨は顔を上げ、久登を見る。彼は驚いたように息を止めたが、視線を逸らさなかった。
「でも……あなたに婚約者がいると知って。やっぱり、夢を見てはいけないと思い直したんです」
喉の奥が痛むのを堪えながら、花梨は必死で言葉を紡いだ。
「それが……私が、あなたの前から消えた理由です」
久登はしばらく黙っていた。やがて一歩近づき、迷うような間を置いてから、そっと花梨を抱き寄せる。
「そうだったのか。本当に、ひとりで抱え込ませてしまって……申し訳なかった」
その腕の中は、思っていたよりも温かかった。花梨は小さく首を横に振る。
「いいえ。久登さんのせいではありません。あのときは……そうするしかなかったから」
抱きしめる腕に、少し力がこもるのが分かった。久登の体温が、花梨の緊張を少しずつ解いていく。
「その後、父も祖母も、立て続けに亡くなって……何もかも失ったような気持ちでいたときに、妊娠が分かったんです」
久登の体が、わずかに強張ったのが分かる。花梨も伝染するように緊張したが、一度息を整え、はっきりと告げる。
「――私の息子たちは、久登さんとの子です」