敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~


彼女の声は、微かに震えていた。

「花梨へ俺の想いの大きさは見えないだろ? だから、少しでも伝わればいいと思って」

久登が差し出した箱を、花梨はそっと受けった。

「そんなの、見えなくなって日々、伝わっていますよ」

花梨は涙を答えながら、真剣な表情の久登を見上げる。

「久登さん。私と、そして子供たちと、家族として、ずっと仲良く暮らしていきましょう」

言葉にした瞬間、胸の奥に溜まっていたものが、すっとほどけた。
久登はふわりと、安堵が混じった優しい表情で笑った。
花梨の左手を取り、薬指に指輪を通す。
その動作は、急がず、丁寧で、大切なものに触れるときの仕草だった。

「ありがとう、花梨。愛してるよ」

花梨は、言葉の代わりに、目元を細めた。
久登の端正な顔が近づき、彼女の唇をそっと奪う。

「私も……心から愛しています。久登さん」

花梨の呼吸は、久登のキスにかき消されていく。
唇と唇の合間から漏れ出る息遣いは、密やかに部屋に響き、やがて隣のもうひとつのベッドルームに消えた。
夜の海が、窓の向こうで静かに寄せては返している。
その姿はまるで、ふたりの離れていた時間のように、優しく、そして時に激しかった。

「んっ……久登、さん?」
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