君の言葉で夢を見たい

- 夢と現のあいだで -



ピリリリ……ピリリリ……



聴き慣れたスマホのアラームで目を覚ました。


どんなに疲れが取れていなくても体を起こさなければいけない。

そう刷り込まれているせいで、この音を聞くだけでうんざりする。


今日は雑誌の取材のスケジュールが入っているけれど、ホテルを出るのは午後だから早く起きる必要はなかった。

それでも、気を抜けばまた昼まで寝てしまいそうで、昨夜はアラームを設定してから眠りについた。


目を瞑ったまま手探りで電子音を鳴らし続けるスマホを枕の下から引っ張り出し、慣れた動作でアラームを止める。


再び静けさを取り戻した布団の中で寝返りを打った。




――アラーム、かけなきゃよかった。

珍しく心地のいい夢を見ていた気がする。


意識がはっきりしていくにつれて薄くなっていく夢の端を、ぎゅっと目を閉じて掴もうとする。


子供の頃にも何度もこうして、覚醒する前の夢と(うつつ)の間で夢を思い出そうとしたことがある。

空を飛んだ浮遊感も、アクション映画みたいに派手な立ち回りで悪いやつを倒した高揚感も、一度だって完全に思い出せたことはない。


それでも幻だとわかっているものを思い出そうとしてしまうのは、夢を見ること自体が久しぶりだったからかもしれない。


頭の形に沈んだ枕に顔を押し付けて、もう一度眠るみたいに頭の中を空っぽにする。

必死に思い出そうとするより、ぼんやりしているほうが勝率は高い。

……気がする。


そうしてようやく、ぼんやりしていた夢の端を手繰り寄せた。



誰かと話していたと思う。

何を話していたかまではわからない。




ただ――とても心地いい声だった。


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