君の言葉で夢を見たい


僕が英語で頼んだブレックファストは30分後に届いた。


ドアの前に立っていたのは、エプロンをつけたレストランのスタッフだった。

……朝食は届いたのに、何かが物足りない。



届いたトーストとベーコン、スクランブルエッグをフォークとナイフで切り分けて、口に運びながら考える。


そもそも部屋からの電話を取っているのはどこの部署の人なんだろう。


昨日も今日も、この内線は「ベルデスク」というところに繋がった。




……ベルデスクって何だ?



僕たちはホテルを使う機会こそ多いが、チェックインなどを直接することはない。

スタッフが事前に打ち合わせをして前乗りで進めてくれているから、僕たちが直接フロントに立ち寄ることはないし、他のデスクに用もない。


朝食を食べながらスマホで「ベルデスク」と検索する。


そして一番上に出てきた検索結果に目を通す。


『ベルデスクとは、ゲストをチェックインカウンターまで案内したり、部屋まで案内したり荷物を預かったりする“ベルスタッフ”のデスク。フロントの近くにあることが多い』


そんな説明が短く書いてあった。

その他にも、ホテルによってはタクシーの手配や、内線の電話を受けたりもするらしい。



……なるほど。


「ベルデスク」と名乗って電話を受けた彼女の仕事内容と一致する。

ってことはあの人もロビーにいるんだな。




やたら豪華な入れ物に入ったバターをパンに塗りつけながら、そんな仮説を立てた。

ということは――。




朝食を完食した僕はもう一度同じ番号に電話をかけた。

そして朝食を下げるお願いをして受話器を置いた。



今回もまた電話に出たのは違う人だった。



……一体ベルスタッフは何人いるんだ?



そんなことを思いながらパーカーに着替える。

そして目の前にあった姿見に映った自分をチラリと見た。


髪をセットするほどじゃない。

どうせこのあと取材の時にヘアメイクをしないといけないし。



髪を軽く手櫛で整えて、セットをしないと目にかかる前髪で目元を隠した。

そして木製のかっこいいカードキーをポケットに突っ込む。




――これはただの偵察だ。




そう言い聞かせて部屋のドアを開けた。

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