クールな年上彼女は焼酎がお好き
 デートが流れた数日後、会社の飲み会が予定されていた。僕と頼子さんの部署が合同で行うものだ。
 その日の朝、僕は口を酸っぱくして「男のそばには座らないでくださいね! 特に後輩!」と念を押していた。

「そこまで心配しなくても、口説き目的で寄ってくる男性なんてそういないし、あしらいかたも分かってるよ」

 頼子さんは苦笑するが、そんな言葉で僕が安心できるはずもない。交際をゴリ押しで呑ませた経緯で、実は押しに弱いという彼女の性格をたぶん僕は本人よりも分かっていた。そこに付け入るなら、歳上より歳下が有利であることも。
 飲み会という時間の限られた交流の場で、いつでも話せる相手と話すような無駄を頼子さんはしない。男性に迫られても上手くかわせると自分では思っている彼女を僕はそばで守ることができない。だから、こうして本人に注意するほかない。
 けれどいざ飲み会が始まってみれば、お話したいですと後輩にきらきらした目でお願いされて、頼子さんはころっと受け入れてしまっていた。
 そういう優しさも好きではあるのだけれど、できれば僕以外にはあまり見せないでほしい。
 ちらちらと頻繁に彼女の様子をうかがっていると、「そんなに気になる?」と隣に座っていた女性の先輩がからかい口調で聞いてきた。

「大丈夫だと思うよ。彼氏がいるんだから、ちゃんと拒否するところは拒否するでしょ。お酒だってこういう場ではいつもセーブしてるし」

 どうして交際のことを知っているんだ? と疑問に思い、目の前の女性がしばしば頼子さんとランチをともにしている人物だと思い出した。
 そこから少し遅れて「セーブ?」と首を傾げる。
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