ひとりが嫌で、今日も笑う。

それでも笑う。

ひとりになるくらいなら、空っぽでもいい。

……そう、思ってしまう。


でも。

今日は限界が近かった。


喉が乾いて、胸が苦しくて、息が浅くなる。

笑っているのに、心臓だけが焦っていた。


「ごめん、私ちょっとトイレ行ってくるね!」

「あ、うん!」


私は逃げるように教室を出た。

階段を上る。

屋上へ向かう足音が、やけに大きく響く。


誰もいない場所が欲しかった。

静かな場所が欲しかった。

でも、静かすぎる場所は怖い。


……矛盾してるなぁ。

私はいつも、そんな矛盾の中で生きている。


屋上の扉に手をかけた瞬間、風の音が聞こえた。

鍵はかかっていない。

扉を押すと、春の空気が冷たく頬に当たった。


……そして。

そこに、人がいた。
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