転生令嬢は騎士からの愛に気付かない
その反応にまさか気付かれてしまったのかとアシュリーは焦ったが、すぐに否定する。シェリーとアシュリーをイコールで繋げるには違いすぎていることに気付いたからだ。
大丈夫だと自分に言い聞かせ、アシュリーは誤魔化すように笑みを浮かべて彼に会釈した。だが途端に眉を顰められてしまって動揺する。
容姿も端麗で身分もあるヴィルヘルムは女性からよくアプローチを受けている。だがどうやら彼はそう言ったものが苦手らしく、困ったような顔をしているのを何度か見かけたことがあった。
恐らく今のアシュリーもそのときの女性と同じだと思われてしまったのだろう。笑みなんて向けなければ良かったと思うが、後の祭りだ。
「……それで、先ほどから君のフォローを頑張ってくれている彼女とは、どんな関係なのかな?」
「隣国に住む遠縁の子なんだけど、今この国で勉強中なんだよね。その勉強の一環で連れてきたんだ。シェリー、はい、自己紹介」
ローウェルに促されて、アシュリーは淑女の礼をして今だけの名前を名乗る。だが名前を口にしたら王太子が意味ありげな反応だったので、恐らくこの人もシェリーが偽の名前であることを知っているのだろうと察せられた。
柔和な親しみやすい表情で王太子はアシュリーに話しかけた。
「ローウェルが舞踏会に参加すると聞いただけでも驚いたのにまさかこんなに美しい姫を同伴するとは驚きだった。是非一曲お相手を願いたかったんだが、実は少し寝不足でね。今日はダンスは控えているんだ。すまない」
「い、いえ、お心遣いだけで十分です。ありがとうございます、殿下」
アシュリーは首を横に振り、礼を口にする。貴族の嗜みとしては習っているが、正直言うとダンスは苦手なのだ。うっかり足を踏んでしまう可能性があることを考えると踊らないに越したことはない。
「ああそうだ、殿下にちょっと話があるんだけどいい?」
「私に? 構わないが……」
上司が王太子相手に砕けた口調であることは、もう突っ込むまい。
そう思いながら、アシュリーは彼らの話の間どこで過ごそうかを考える。
ローウェルの話がどんなものかはわからないが、王太子との話なのだ。この場で続けるにしろ別室に移動するにしろ、アシュリーが傍にいない方がいい。
大丈夫だと自分に言い聞かせ、アシュリーは誤魔化すように笑みを浮かべて彼に会釈した。だが途端に眉を顰められてしまって動揺する。
容姿も端麗で身分もあるヴィルヘルムは女性からよくアプローチを受けている。だがどうやら彼はそう言ったものが苦手らしく、困ったような顔をしているのを何度か見かけたことがあった。
恐らく今のアシュリーもそのときの女性と同じだと思われてしまったのだろう。笑みなんて向けなければ良かったと思うが、後の祭りだ。
「……それで、先ほどから君のフォローを頑張ってくれている彼女とは、どんな関係なのかな?」
「隣国に住む遠縁の子なんだけど、今この国で勉強中なんだよね。その勉強の一環で連れてきたんだ。シェリー、はい、自己紹介」
ローウェルに促されて、アシュリーは淑女の礼をして今だけの名前を名乗る。だが名前を口にしたら王太子が意味ありげな反応だったので、恐らくこの人もシェリーが偽の名前であることを知っているのだろうと察せられた。
柔和な親しみやすい表情で王太子はアシュリーに話しかけた。
「ローウェルが舞踏会に参加すると聞いただけでも驚いたのにまさかこんなに美しい姫を同伴するとは驚きだった。是非一曲お相手を願いたかったんだが、実は少し寝不足でね。今日はダンスは控えているんだ。すまない」
「い、いえ、お心遣いだけで十分です。ありがとうございます、殿下」
アシュリーは首を横に振り、礼を口にする。貴族の嗜みとしては習っているが、正直言うとダンスは苦手なのだ。うっかり足を踏んでしまう可能性があることを考えると踊らないに越したことはない。
「ああそうだ、殿下にちょっと話があるんだけどいい?」
「私に? 構わないが……」
上司が王太子相手に砕けた口調であることは、もう突っ込むまい。
そう思いながら、アシュリーは彼らの話の間どこで過ごそうかを考える。
ローウェルの話がどんなものかはわからないが、王太子との話なのだ。この場で続けるにしろ別室に移動するにしろ、アシュリーが傍にいない方がいい。