転生令嬢は騎士からの愛に気付かない
よし、と気合を入れてから、アシュリーは覚束ない足元で廊下に続く扉に向かった。
恐る恐るドアノブに手をかけるが、どうやら鍵が掛けられているらしい。内側から鍵を開けられるようにはなっていない。
どうしようと悩んでいると、扉の外から僅かに人の声が聞こえてきて、アシュリーは耳を澄ます。
会話から、どうやら騎士団員のようだ。
この部屋に案内されたとき、ヴィルヘルムが会話していた男性は団服を着ていた。もし仮にこの扉を開くことができて、出て行くことができたとしても、彼らに姿を見られればヴィルヘルムに連絡が行く可能性がある。
優しい彼のことだ。もし万が一でも騎士団員経由で連絡を受けたらきっとここに来てしまう。
そう思ったアシュリーは扉から出るのを諦め、カーテンの引かれた窓へと近付いていく。そしてカーテンを引くと、鍵を開けて窓を静かに開いた。
途端に涼しい風が入り込み、カーテンを揺らす。
幼いならともかく、成人している貴族の令嬢が窓を使って外に出るとは、大抵の人間は考えないだろう。
窓が問題なく開いたことにアシュリーはほっと胸を撫で下ろす。はしたないことではあるが、背に腹は代えられない。
この部屋が一階にあって良かったと思いながらそっと窓枠に手を掛けた。
痛みで思うように動かない体だが泣き言など言っていられない。何とか窓枠を乗り越え、辺りに人がいないことを確認しながらアシュリーは部屋を後にした。
先ほどの部屋が休憩室として設けられている部屋ならば城のこの辺りだろうとあたりを付けて人通りの少ない庭を早足で進む。
幸いなことに誰かと会うこともすれ違うこともなく部屋から離れることができ、しばらくすると目にしたことのある風景の場所に辿り着いた。
だがここでアシュリーは路頭に迷ってしまった。
──でも、ここからどうしよう……
正しい時間はわからないが、すでに舞踏会は終わっているだろう。もしかしたら朝の方が近いかもしれないとすら思った。
来るときはカルヴァート家の馬車でここまで来たが、仮にその馬車がまだあったとしても、さすがにこの格好で馬車乗り場まで行くわけにはいかない。
恐る恐るドアノブに手をかけるが、どうやら鍵が掛けられているらしい。内側から鍵を開けられるようにはなっていない。
どうしようと悩んでいると、扉の外から僅かに人の声が聞こえてきて、アシュリーは耳を澄ます。
会話から、どうやら騎士団員のようだ。
この部屋に案内されたとき、ヴィルヘルムが会話していた男性は団服を着ていた。もし仮にこの扉を開くことができて、出て行くことができたとしても、彼らに姿を見られればヴィルヘルムに連絡が行く可能性がある。
優しい彼のことだ。もし万が一でも騎士団員経由で連絡を受けたらきっとここに来てしまう。
そう思ったアシュリーは扉から出るのを諦め、カーテンの引かれた窓へと近付いていく。そしてカーテンを引くと、鍵を開けて窓を静かに開いた。
途端に涼しい風が入り込み、カーテンを揺らす。
幼いならともかく、成人している貴族の令嬢が窓を使って外に出るとは、大抵の人間は考えないだろう。
窓が問題なく開いたことにアシュリーはほっと胸を撫で下ろす。はしたないことではあるが、背に腹は代えられない。
この部屋が一階にあって良かったと思いながらそっと窓枠に手を掛けた。
痛みで思うように動かない体だが泣き言など言っていられない。何とか窓枠を乗り越え、辺りに人がいないことを確認しながらアシュリーは部屋を後にした。
先ほどの部屋が休憩室として設けられている部屋ならば城のこの辺りだろうとあたりを付けて人通りの少ない庭を早足で進む。
幸いなことに誰かと会うこともすれ違うこともなく部屋から離れることができ、しばらくすると目にしたことのある風景の場所に辿り着いた。
だがここでアシュリーは路頭に迷ってしまった。
──でも、ここからどうしよう……
正しい時間はわからないが、すでに舞踏会は終わっているだろう。もしかしたら朝の方が近いかもしれないとすら思った。
来るときはカルヴァート家の馬車でここまで来たが、仮にその馬車がまだあったとしても、さすがにこの格好で馬車乗り場まで行くわけにはいかない。