転生令嬢は騎士からの愛に気付かない
「……ご冗談を。わたしには、こん、婚約者が、おります。その方をお慕いしているので、ジェラルド様の気を引こうだなんて思ったことはありません」
力み過ぎて吃ってしまったが、ジェラルドは目を細めただけで大きな反応はしなかった。
「それに気を引こうと思う程、あなたを好意的に思ったことはありませんので」
アシュリーはにっこりと笑みを浮かべてそう言った。先に失礼なことを言ってきたのは相手の方なのだからと自分に言い聞かせて、ジェラルドを睨み付けた。
驚いた顔をしたジェラルドと、少しの間視線が絡む。
先に動いたのは彼の方で、顎を掴んでいた手を離され、巻き付いていた腕から解放される。
ホッとしたのもつかの間で、大樹の影から出てきたジェラルドはベンチに座るアシュリーの前に身を屈めた。
「ジェ、ジェラルド様……?!」
「ご無礼を申し訳ありません、アシュリー嬢」
突然の謝罪に、そして彼が自分の名前を知っていたことにアシュリーは驚いた。
彼の目には先ほどまで浮かんでいた、試していると言いたげな愉悦の色はない。
「あれだけ浮かれたヴィルヘルムを見たのは初めてだったから、彼が好きになった女性がどんな人なのか気になっていたんだ。そうしたらたまたま君を見つけたので、少し試すようなことを言ってしまった。彼女たちから逃げたかったのは、事実だしね」
それから楽しげにジェラルドは口角を上げる。
「まさか惚気られた上、あんな反撃を受けるとは思わなかったけど」
アシュリーが何も言えず視線を逸らしていると、「まったく」とジェラルドが呟いた。
「両思いの相手と婚約できるなんて、羨ましいよ、君とヴィルヘルムが」
肩を竦めて、ジェラルドは切なげな表情をして微笑んだ。苦しげに吐き出された言葉に、先ほどまでの彼とは違う雰囲気を感じてアシュリーは続ける言葉が出てこなかった。
力み過ぎて吃ってしまったが、ジェラルドは目を細めただけで大きな反応はしなかった。
「それに気を引こうと思う程、あなたを好意的に思ったことはありませんので」
アシュリーはにっこりと笑みを浮かべてそう言った。先に失礼なことを言ってきたのは相手の方なのだからと自分に言い聞かせて、ジェラルドを睨み付けた。
驚いた顔をしたジェラルドと、少しの間視線が絡む。
先に動いたのは彼の方で、顎を掴んでいた手を離され、巻き付いていた腕から解放される。
ホッとしたのもつかの間で、大樹の影から出てきたジェラルドはベンチに座るアシュリーの前に身を屈めた。
「ジェ、ジェラルド様……?!」
「ご無礼を申し訳ありません、アシュリー嬢」
突然の謝罪に、そして彼が自分の名前を知っていたことにアシュリーは驚いた。
彼の目には先ほどまで浮かんでいた、試していると言いたげな愉悦の色はない。
「あれだけ浮かれたヴィルヘルムを見たのは初めてだったから、彼が好きになった女性がどんな人なのか気になっていたんだ。そうしたらたまたま君を見つけたので、少し試すようなことを言ってしまった。彼女たちから逃げたかったのは、事実だしね」
それから楽しげにジェラルドは口角を上げる。
「まさか惚気られた上、あんな反撃を受けるとは思わなかったけど」
アシュリーが何も言えず視線を逸らしていると、「まったく」とジェラルドが呟いた。
「両思いの相手と婚約できるなんて、羨ましいよ、君とヴィルヘルムが」
肩を竦めて、ジェラルドは切なげな表情をして微笑んだ。苦しげに吐き出された言葉に、先ほどまでの彼とは違う雰囲気を感じてアシュリーは続ける言葉が出てこなかった。