【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
「うわぁぁぁああっ!」
すると、氷室さんは体をビクッと震わせて椅子から飛び上がり絶叫した。
「きゃっ!」
それに驚いて私も短い悲鳴を上げる。
「な、なんだ!」
氷室さんは目を見開いて素早く首を左右に振り、驚きを露にしながら耳栓を外した。
「あっ……耳栓……」
それに気付き、どうりで私の声が届かないはずだと納得する。
「す、すみません。驚かせるつもりじゃなくて……」
「はぁ、君か……。驚いて心臓が止まるかと思った……。幽霊が出て俺の肩を叩いたのかと……」
氷室さんはまるで自分を落ち着かせるみたいに胸元を手のひらで擦る。
こんな風に動揺する氷室さんを見るのは初めてのことだった。
「もしかして、氷室さんって幽霊が苦手なんですか?」
聞かずとも彼が幽霊を恐れているのは火を見るよりも明らかだった。
「……ああ。幽霊は未知の存在で人間の理解を超えた存在だからな」
いたって真面目な顔で言う氷室さんに私は思わず口元を手のひらで覆って笑いをこらえる。
「まさか、君は怖くないのか?」
大問題に直面したかのように深刻そうな表情で尋ねられた私は「ぶっ!」と思わず吹き出してしまった。
「なぜ笑うんだ」
真剣な顔で聞かれて、自然と笑みが浮かぶ。
「ふふっ、ごめんなさい。私も幽霊は苦手です。でも、氷室さんが慌てる姿を見たのは初めてだったので、なんだかおかしくなっちゃって」
「情けない男で悪かったな」
氷室さんは眉間に皺を寄せて首元を手で擦る。
「いえ、意外な部分が見られてちょっと嬉しかったです」
私の言葉に氷室さんはお風呂上がりでまだしっとりと濡れている髪をくしゃくしゃといじった。
いつものようにきちっとセットされておらず無造作に下ろされた髪からは男性的な色気を感じる。
「これからは背後から近づいて声を掛けるのはやめますね」
「ああ。できればそうしてくれ。それで、用件は?」
「えっと、実はこれを管理人さんから渡されました」
私は住民総会のお知らせを氷室さんに手渡した。
「ああ、総会か……。年に数回あるんだが、総会とは名ばかりで住民の交流を図るのが目的だ。一応毎回顔は出してはいるが、マンション内の多目的ルームで夜が明けるまで酒の飲み食いをして大騒ぎするだけだ」
氷室さんによれば、いくら酔っぱらってもエレベーターに乗ればすぐに自宅へ帰れるということもあり、毎年羽目を外して飲みまくる人がいるらしい。
「今年は不参加だと後で連絡しておく」
日時は再来週の土曜日の夜になっている。氷室さんの仕事はシフト制で、八時から十七時の日勤と十七時から翌朝の九時までの夜勤を行っている。
総会の日の彼のシフトは分からないが、結婚している以上、忙しい彼に代わって私が参加すべきだろうと考えた。
「でしたら、総会には私が参加します」
「――なんだって?」
私の言葉に氷室さんが目を剥く。
すると、氷室さんは体をビクッと震わせて椅子から飛び上がり絶叫した。
「きゃっ!」
それに驚いて私も短い悲鳴を上げる。
「な、なんだ!」
氷室さんは目を見開いて素早く首を左右に振り、驚きを露にしながら耳栓を外した。
「あっ……耳栓……」
それに気付き、どうりで私の声が届かないはずだと納得する。
「す、すみません。驚かせるつもりじゃなくて……」
「はぁ、君か……。驚いて心臓が止まるかと思った……。幽霊が出て俺の肩を叩いたのかと……」
氷室さんはまるで自分を落ち着かせるみたいに胸元を手のひらで擦る。
こんな風に動揺する氷室さんを見るのは初めてのことだった。
「もしかして、氷室さんって幽霊が苦手なんですか?」
聞かずとも彼が幽霊を恐れているのは火を見るよりも明らかだった。
「……ああ。幽霊は未知の存在で人間の理解を超えた存在だからな」
いたって真面目な顔で言う氷室さんに私は思わず口元を手のひらで覆って笑いをこらえる。
「まさか、君は怖くないのか?」
大問題に直面したかのように深刻そうな表情で尋ねられた私は「ぶっ!」と思わず吹き出してしまった。
「なぜ笑うんだ」
真剣な顔で聞かれて、自然と笑みが浮かぶ。
「ふふっ、ごめんなさい。私も幽霊は苦手です。でも、氷室さんが慌てる姿を見たのは初めてだったので、なんだかおかしくなっちゃって」
「情けない男で悪かったな」
氷室さんは眉間に皺を寄せて首元を手で擦る。
「いえ、意外な部分が見られてちょっと嬉しかったです」
私の言葉に氷室さんはお風呂上がりでまだしっとりと濡れている髪をくしゃくしゃといじった。
いつものようにきちっとセットされておらず無造作に下ろされた髪からは男性的な色気を感じる。
「これからは背後から近づいて声を掛けるのはやめますね」
「ああ。できればそうしてくれ。それで、用件は?」
「えっと、実はこれを管理人さんから渡されました」
私は住民総会のお知らせを氷室さんに手渡した。
「ああ、総会か……。年に数回あるんだが、総会とは名ばかりで住民の交流を図るのが目的だ。一応毎回顔は出してはいるが、マンション内の多目的ルームで夜が明けるまで酒の飲み食いをして大騒ぎするだけだ」
氷室さんによれば、いくら酔っぱらってもエレベーターに乗ればすぐに自宅へ帰れるということもあり、毎年羽目を外して飲みまくる人がいるらしい。
「今年は不参加だと後で連絡しておく」
日時は再来週の土曜日の夜になっている。氷室さんの仕事はシフト制で、八時から十七時の日勤と十七時から翌朝の九時までの夜勤を行っている。
総会の日の彼のシフトは分からないが、結婚している以上、忙しい彼に代わって私が参加すべきだろうと考えた。
「でしたら、総会には私が参加します」
「――なんだって?」
私の言葉に氷室さんが目を剥く。