【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
それから月日は経ち、結婚してからちょうど一か月目の夜。
あらかじめ予定を開けておいて欲しいと頼まれていた私は、武尊さんに連れられて某一流ホテル内のフレンチレストランへやってきた。
「うわぁ……すごい」
高い天井に目を奪われた私は思わず小声で呟いた。
茶色を基調とした広々とした店内はヨーロピアンクラシックな雰囲気が漂っている。開放感のある大きなガラス窓からは都会の夜景が一望できる。
以前、友達の結婚式に行くために買ったネイビーのドレスが役に立った。場の雰囲気に圧倒されている私の正面にはスーツ姿の武尊さんが座っている。
初めて見たその出で立ちは圧巻だった。チャコールのスリーピーススーツ着た武尊さん。普段家にいる時や出勤時は、ラフな格好をしていることが多く、スーツを着ている姿を見たのは今日が初めてだった。
顔が小さく手足が長い武尊さんはまるでモデルのようにスタイルが良い。艶やかな黒髪を綺麗に撫で付けたその姿は完璧で、惚れ惚れしてしまうぐらい魅力的だった。
実際、席へ着くまでに男女問わず人々の視線を独り占めしていた。
とはいえ、当の本人は見られることに慣れているのか、平然とした様子で歩を進めた。
「――小春」
「えっ」
「ぼんやりしてどうした。体調でも悪いのか?」
向かい側に座る武尊さんが私の顔を覗き込む。
「い、いえ。元気です!」
あまりにも武尊さんが素敵すぎて見惚れてしまったとはいえず、慌てて否定する。
結婚してからこうやって一緒に外で食事をするのは初めてだ。せっかく誘ってもらったのだから今日は楽しもうと気持ちを切り替える。
「俺は運転手だからノンアルにするが、小春はどうする? 飲めるならシャンパンもあるぞ」
「私もノンアルで大丈夫です」
「分かった」
武尊さんは場の雰囲気にも一切臆さずウエイターに伝える。こんな素敵な場所で食事をしたことのない私はガチガチに緊張してしまう。
この日のためにテーブルマナーを今一度確認しておいてよかった。
食前酒のノンアルワインが届き、乾杯する。口に含むと、果物の爽やかな甘みが鼻に抜ける。
ああ、なんて贅沢な時間なんだろう……。
優雅に夜景を眺めつつ美味しいワインを堪能していると、武尊さんが「小春、手を出して」と唐突に言った。
何かを渡されるのだろうかと、言われた通りに右手のひらを上にして差し出す。
「左手で頼む」
「左手……ですか?」
首を傾げつつ左手を差し出した瞬間、武尊さんは私の手をくるっと反転させ、私の手のひらを自身の手でそっと支えた。
彼の手に触れたのは今日が初めてだ。思ったよりもずっと大きくて温かな彼の手の熱に心臓がドキッと跳ねる。
「あの、武尊さん?」
突然の出来事に目を白黒させて動揺する私の左の薬指に、彼はそっと指輪をはめた。
「結婚したのに指輪が遅くなって悪かった。オーダーメイドにしたせいで、完成までに時間がかかった」
左手で眩い光を放つ指輪は、全周にダイヤモンドがあしらわれたフルエタニティリングだった。
「この指輪、オーダーメイドなんですか?」
「ああ。指輪にはどうしてもこだわりたくてな」
さらりと言う武尊さんに驚き、薬指に目をやる。
指輪にはキラキラと眩い光を放つダイヤモンドがこれでもかというぐらいたくさんあしらわれている。
一目見ただけで高価な物だと分かる代物だ。
でも、どうしても武尊さんが指輪にこだわる理由が分からない。
そもそも私と彼は契約結婚だ。私が結婚指輪をしていないことで周りの人に疑われないようにという配慮からならば安価な指輪でもいいはずだ。オーダーメイドかつ、ここまで高価な指輪を揃える必要はないだろう。
とはいえ、彼は高給取りの医師で、立場もある。妻には高価な物を身に着けておいて欲しいタイプなのだろうか。
あらかじめ予定を開けておいて欲しいと頼まれていた私は、武尊さんに連れられて某一流ホテル内のフレンチレストランへやってきた。
「うわぁ……すごい」
高い天井に目を奪われた私は思わず小声で呟いた。
茶色を基調とした広々とした店内はヨーロピアンクラシックな雰囲気が漂っている。開放感のある大きなガラス窓からは都会の夜景が一望できる。
以前、友達の結婚式に行くために買ったネイビーのドレスが役に立った。場の雰囲気に圧倒されている私の正面にはスーツ姿の武尊さんが座っている。
初めて見たその出で立ちは圧巻だった。チャコールのスリーピーススーツ着た武尊さん。普段家にいる時や出勤時は、ラフな格好をしていることが多く、スーツを着ている姿を見たのは今日が初めてだった。
顔が小さく手足が長い武尊さんはまるでモデルのようにスタイルが良い。艶やかな黒髪を綺麗に撫で付けたその姿は完璧で、惚れ惚れしてしまうぐらい魅力的だった。
実際、席へ着くまでに男女問わず人々の視線を独り占めしていた。
とはいえ、当の本人は見られることに慣れているのか、平然とした様子で歩を進めた。
「――小春」
「えっ」
「ぼんやりしてどうした。体調でも悪いのか?」
向かい側に座る武尊さんが私の顔を覗き込む。
「い、いえ。元気です!」
あまりにも武尊さんが素敵すぎて見惚れてしまったとはいえず、慌てて否定する。
結婚してからこうやって一緒に外で食事をするのは初めてだ。せっかく誘ってもらったのだから今日は楽しもうと気持ちを切り替える。
「俺は運転手だからノンアルにするが、小春はどうする? 飲めるならシャンパンもあるぞ」
「私もノンアルで大丈夫です」
「分かった」
武尊さんは場の雰囲気にも一切臆さずウエイターに伝える。こんな素敵な場所で食事をしたことのない私はガチガチに緊張してしまう。
この日のためにテーブルマナーを今一度確認しておいてよかった。
食前酒のノンアルワインが届き、乾杯する。口に含むと、果物の爽やかな甘みが鼻に抜ける。
ああ、なんて贅沢な時間なんだろう……。
優雅に夜景を眺めつつ美味しいワインを堪能していると、武尊さんが「小春、手を出して」と唐突に言った。
何かを渡されるのだろうかと、言われた通りに右手のひらを上にして差し出す。
「左手で頼む」
「左手……ですか?」
首を傾げつつ左手を差し出した瞬間、武尊さんは私の手をくるっと反転させ、私の手のひらを自身の手でそっと支えた。
彼の手に触れたのは今日が初めてだ。思ったよりもずっと大きくて温かな彼の手の熱に心臓がドキッと跳ねる。
「あの、武尊さん?」
突然の出来事に目を白黒させて動揺する私の左の薬指に、彼はそっと指輪をはめた。
「結婚したのに指輪が遅くなって悪かった。オーダーメイドにしたせいで、完成までに時間がかかった」
左手で眩い光を放つ指輪は、全周にダイヤモンドがあしらわれたフルエタニティリングだった。
「この指輪、オーダーメイドなんですか?」
「ああ。指輪にはどうしてもこだわりたくてな」
さらりと言う武尊さんに驚き、薬指に目をやる。
指輪にはキラキラと眩い光を放つダイヤモンドがこれでもかというぐらいたくさんあしらわれている。
一目見ただけで高価な物だと分かる代物だ。
でも、どうしても武尊さんが指輪にこだわる理由が分からない。
そもそも私と彼は契約結婚だ。私が結婚指輪をしていないことで周りの人に疑われないようにという配慮からならば安価な指輪でもいいはずだ。オーダーメイドかつ、ここまで高価な指輪を揃える必要はないだろう。
とはいえ、彼は高給取りの医師で、立場もある。妻には高価な物を身に着けておいて欲しいタイプなのだろうか。