【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
「おばあちゃん」
お茶を飲みながら朝のニュース番組を観ている祖母は私の声に全く反応しない。
昔から畑仕事をしていたため足腰は強いが、ここ最近耳が遠くなってきている。
「おばあちゃん、洗濯機回すけど何か洗う物ある?」
「ううん、ないよ。小春ちゃんいつもありがとうね」
 少し声を張って尋ねると、祖母が目尻を下げた。
「こちらこそありがとう」
 両親を亡くした後も私と若菜が路頭に迷わなかったのは祖母の影響が大きい。
 両親と暮らしていたのは賃貸マンションだった。仕事を始めたばかりの私のお給料だけでは若菜とふたりで暮らすことは現実的ではなかった。そんな時、手を差し伸べてくれたのが祖母だった。
『部屋は狭いけど、一緒に暮らさない?』
人数が増えるがいいかと大家さんに掛け合ってくれたのも祖母だ。
洗濯機を回している間に、部屋の掃除機をかける。
 私の勤務先は家から徒歩で十五分ほどの距離にある矢崎(やざき)ファミリークリニックだ。
専門学校を卒業後から今日まで、そこで医療事務員として働いている。毎週水曜日と日曜日は休診日で、休みの日に溜まっている家事などを集中的に行っている。
アパートは2DKで六畳の和室を祖母が、もう一つの洋室を私と若菜のふたりで使っている。
 祖母の部屋の掃除を終え、私と若菜が使っている洋室に入り掃除機をかける。
「あっ!」
すると、若菜の机の上に積み上げられていた教科書類に肘がぶつかり、雪崩を起こした。
「もう、若菜ってばこんなに積み重ねて……」
 愚痴りつつ床に散らばった教科書を拾い上げていた時、ふとある物に目が留まった。
「これって……」
 教科書の間に隠すように挟み込まれていたのは、大学のパンフレットだった。
何気なくめくっていくと、【学業特待生制度】のページに付箋が付いている。
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