【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
「……っ!」
「よし、これでいい」
 彼は私の腰に腕を回したまま満足げに呟く。
 ど、どうしてこんなことを……?
 大画面のテレビに目を向けているが集中などできるはずもなく、腰に触れる武尊さんの手のひらに意識がいく。
 食事中もお酒は一切口にしていないし、酔っぱらっているわけではない。
 武尊さんの体に触れている右半身が熱を帯びたように熱くなる。
 こんな風に男性に引き寄せられたことも触れられたこともなかった私は、とても冷静ではいられずカチコチに体を固めることしかできない。
 ひとまず映画に集中しようとテレビに目を向けるも、映画は意外にも単調で徐々に睡魔が襲い掛かってくる。
 ダメダメ。せっかく武尊さんが誘ってくれたのに寝る訳にはいかない。
 私は必死に自分を奮い立たせた。
「んっ……」
 ふと目を開ける。
 あれ……私……何していたんだっけ……。
ぼんやりとした意識の中テレビに目を向けると、エンドロールが流れていた。
 そうだ。私、武尊さんと一緒に映画を観ていたんだった……。
眠気に抗っていたが、いつの間にかソファに座ったまま眠ってしまっていたようだ。
 ふと右側に目を向けた瞬間、私はハッとして息を飲んだ。
 隣に座る武尊さんは私の腰を抱き締めたまま、眠っていた。
 私達は互いに寄り添うように眠っていたのだと気付き、ぶわっと顔が赤くなる。
 武尊さんの整った顔がすぐそばにある。
 小さな寝息を立てて無防備な顔で眠る武尊さんの姿に胸の鼓動が速くなる。
 ど、どうしたらいいの……?
 体は武尊さんの手でホールドされているし、立ち上がれば彼を起こしてしまうに違いない。でも、この距離感はあまりにも近すぎる。
 互いの息遣いすら間近で感じられ、戸惑っていた時だった。
「……どうした」
 武尊さんが目を開けた。至近距離で目が合った瞬間、心臓のドキドキがさらに大きくなる。
「ご、ごめんなさい……。私、途中で寝ちゃって……」
私が慌てて離れようとした瞬間、武尊さんは離さないとばかりに私の腰に回す手に力を込めた。
「行くな。あと少しだけこうさせてくれ」
 首筋に感じる彼の吐息に、私の顔は沸騰したように熱くなる。武尊さんに触れている部分に意識が集中し、何も考えられない。
 高鳴り止まない鼓動を抱えたまま、私はどうしようもなくギュッと目を閉じて寝たふりをするしかなかった。
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