【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
結婚してからあと少しで三か月と迫った九月の上旬。
 朝、スマホのアラームで目を覚ました私は明らかな体の重さを感じた。
 昨晩から少しだるさがあり、その予兆はあった。
すぐに熱を計ると三十八度を超えている。とはいえ、発熱に伴う頭痛とだるさ以外の風邪症状などは一切ない。 
連日残業続きだったせいで、自分でも気付かぬうちに疲れが溜まっていたのだろう。今までも疲労が限界に達して免疫力が下がると高熱を出すことがあった。
一日ぐっすり眠って体を休めれば体調は回復するはずだし、今日は仕事のお休みをもらおう。
連絡を入れた後、私は再びベッドに潜り込んで目を瞑った。
「――小春?」
 どこからか、私の名前を呼ぶ声がする。
「小春、いるのか?」
 ドアを外側からノックして声をかけてきたのは武尊さんだった。
「はい」
 休みの連絡を入れた後、私はぐっすりと眠ってしまっていたようだ。ベッドから起き上がって答えると、武尊さんは「開けるぞ」と断ってから部屋の扉を開けた。
「どうした。いつも出勤する時に履いていく靴が玄関にあったから心配になって様子を見に来たんだが……」
 私の姿を見た武尊さんはすぐに異変に気が付いたようだ。
 部屋の時計を確認すると、午前九時を回っている。どうやら夜勤明けで家に帰って来た武尊さんは、出勤日に私が家にいるのを不思議に思い部屋へやってきたようだ。
「体調が悪いんだな? いつから?」
「昨晩から少し体調が悪くて、朝起きたら熱があったんです。それで今日は仕事をお休みしました」
「熱?」
 武尊さんはベッドに座る私の元へ歩み寄ると、何の躊躇もなく私のおでこに触れた。
「高いな。熱以外に症状は?」
「頭痛と体のだるさがあるだけで他にはありません。時々疲れるとこうやって熱を出すんです。でも、寝れば翌日には治るので――」
「いや、発熱は体を守るために必要な防御反応で、甘く考えたらいけない。時に命に関わる病気が隠れていることがあるんだ。熱を計って待っていてくれ。すぐに戻る」
 武尊さんは枕元にあった体温計を私に手渡し、部屋から飛び出していった。
ちょうど体温を測り終えたタイミングで武尊さんが戻って来た。
その手にはペットボトルのスポーツドリンク、それに聴診器や血圧計、酸素飽和度を測るパススオキシメーターが握られている。
「熱は何度?」
「三十八度八分です」
「分かった。バイタル測るから楽にして」
 さすがは救急医だ。武尊さんは流れるような動きで私のバイタル測定をした。
 その後、服の上から銀色の聴診器を胸に当てる。
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