【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
この日の夜、いつものようにダイニングで夕食を食べている時、私はタイミングを見計らって切り出した。
「ねえ、若菜。ちょっと話があるんだけどいい?」
「話って?」
大好物の唐揚げを口いっぱいに頬張りながら若菜がこちらに目を向ける。
「実は今日ね、部屋の掃除をしてる時に大学のパンフレットを見つけたの」
私の言葉に若菜がピタリと動きを止めた。
若菜は私の言葉の意図を探るように、黒く澄んだ瞳を向ける。
「若菜、本当は大学に行きたいんじゃないの?」
意を決して尋ねると、口の中の唐揚げを飲み込んだ後、若菜は笑って見せた。
「違うって。あれは先生にこんな大学もあるぞ~って渡されただけだよ」
「でも、付箋が――」
私が言いかけると、若菜が言葉を遮った。
「お姉ちゃんが何て言おうと、就職するって気持ちに変わりはないから」
「でも、若菜は頭も良いしもったいないよ。担任の先生だってそれを知っているから大学進学を提案してくれているんだと思うよ。だからもう一度よく考えてみて?」
すると、私の言葉に若菜は不服気は表情を浮かべた。
「ていうかさぁ、妹の私の心配するより、自分のこと考えたほうがいいって! お姉ちゃん、もう二十六歳でしょ? そろそろ結婚とか考えてもいい年齢じゃん」
「それは……」
「子供の頃から『結婚したい』って口癖みたいに言ってたの私忘れてないからね」
痛いところを突かれて黙り込む。
確かに若菜の言う通りで、言い返す言葉もない。
亡くなった両親は子供の私から見ても仲の良い夫婦だった。ふたりが言い争っているところは一度も見たことがないし、お互いを信頼して愛情を持って支え合っているのが伝わって来た。
そんな私の幼い頃の夢は『大好きな人と結婚すること』だった。
私もいつか両親のような温かな家族をつくりたいと強く思った。
「私はお姉ちゃんが結婚して幸せになるところを見たいの。ねえ、おばあちゃん?」
若菜が祖母に話を振る。祖母は顔を持ち上げて柔和に微笑んだ。
「そうだねぇ。私も小春ちゃんが旦那さんを見つけて結婚してくれたら嬉しいわぁ」
「ほらねっ!」
祖母の言葉に若菜が得意げに胸を張る。
「私は大好きなお姉ちゃんに幸せになってもらいたいの! だから、お姉ちゃんが結婚するっていうなら私も大学進学のこと真剣に考えるよ」
「そんな……」
「この話はもうおしまい! ごちそうさまでした!」
パチンっと手を合わせて食器を流しへ運ぶ若菜の背中を目で追う。
若菜は昔から頑固で、一度言い出したら絶対に考えを曲げない。きっと私が必死に大学進学をするように説得しても聞く耳を持たないだろう。
私が結婚して幸せにならない限り、若菜が大学を受験することはない。
けれど、突き付けられた条件はとてもクリアできそうにもない。
若菜の受験期までに結婚してくれる相手など見つかるわけもない。
この晩、夜遅くまでどうしたら頑なな若菜を説得できるだろうかと考えあぐねた。
隣の布団では若菜がスヤスヤと気持ちの良さそうな寝息を立てている。
結局この晩、これといった解決策が思い浮かぶことはなかった。
「ねえ、若菜。ちょっと話があるんだけどいい?」
「話って?」
大好物の唐揚げを口いっぱいに頬張りながら若菜がこちらに目を向ける。
「実は今日ね、部屋の掃除をしてる時に大学のパンフレットを見つけたの」
私の言葉に若菜がピタリと動きを止めた。
若菜は私の言葉の意図を探るように、黒く澄んだ瞳を向ける。
「若菜、本当は大学に行きたいんじゃないの?」
意を決して尋ねると、口の中の唐揚げを飲み込んだ後、若菜は笑って見せた。
「違うって。あれは先生にこんな大学もあるぞ~って渡されただけだよ」
「でも、付箋が――」
私が言いかけると、若菜が言葉を遮った。
「お姉ちゃんが何て言おうと、就職するって気持ちに変わりはないから」
「でも、若菜は頭も良いしもったいないよ。担任の先生だってそれを知っているから大学進学を提案してくれているんだと思うよ。だからもう一度よく考えてみて?」
すると、私の言葉に若菜は不服気は表情を浮かべた。
「ていうかさぁ、妹の私の心配するより、自分のこと考えたほうがいいって! お姉ちゃん、もう二十六歳でしょ? そろそろ結婚とか考えてもいい年齢じゃん」
「それは……」
「子供の頃から『結婚したい』って口癖みたいに言ってたの私忘れてないからね」
痛いところを突かれて黙り込む。
確かに若菜の言う通りで、言い返す言葉もない。
亡くなった両親は子供の私から見ても仲の良い夫婦だった。ふたりが言い争っているところは一度も見たことがないし、お互いを信頼して愛情を持って支え合っているのが伝わって来た。
そんな私の幼い頃の夢は『大好きな人と結婚すること』だった。
私もいつか両親のような温かな家族をつくりたいと強く思った。
「私はお姉ちゃんが結婚して幸せになるところを見たいの。ねえ、おばあちゃん?」
若菜が祖母に話を振る。祖母は顔を持ち上げて柔和に微笑んだ。
「そうだねぇ。私も小春ちゃんが旦那さんを見つけて結婚してくれたら嬉しいわぁ」
「ほらねっ!」
祖母の言葉に若菜が得意げに胸を張る。
「私は大好きなお姉ちゃんに幸せになってもらいたいの! だから、お姉ちゃんが結婚するっていうなら私も大学進学のこと真剣に考えるよ」
「そんな……」
「この話はもうおしまい! ごちそうさまでした!」
パチンっと手を合わせて食器を流しへ運ぶ若菜の背中を目で追う。
若菜は昔から頑固で、一度言い出したら絶対に考えを曲げない。きっと私が必死に大学進学をするように説得しても聞く耳を持たないだろう。
私が結婚して幸せにならない限り、若菜が大学を受験することはない。
けれど、突き付けられた条件はとてもクリアできそうにもない。
若菜の受験期までに結婚してくれる相手など見つかるわけもない。
この晩、夜遅くまでどうしたら頑なな若菜を説得できるだろうかと考えあぐねた。
隣の布団では若菜がスヤスヤと気持ちの良さそうな寝息を立てている。
結局この晩、これといった解決策が思い浮かぶことはなかった。