【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
「若菜、お弁当忘れないで。あっ、おばあちゃん! 火の取り扱いにはくれぐれも気を付けてね!」
翌朝、私は支度を済ませると若菜よりも早く家を出て職場である『矢崎ファミリークリニック』へ向かった。
私が勤める『矢崎ファミリークリニック』はその名の通り大人も子どもも家族全員を診ることができることを謳っている診療所だ。
院長の矢崎先生は海外で修行を積み、大学病院で長年勤務した後、地元に戻りこのクリニックを開設した。
家庭医としての知識と経験も豊富な矢崎先生の元、内科や小児科、皮膚科など診療科の枠にとらわれない総合的かつ身近な総合医療が行われている。
裏口の職員玄関から中に入り、更衣室へ行く。中はガランとしていて誰もいない。どうやら今日も一番乗りのようだ。
自分のロッカーから取り出した白いブラウスと黒いスカートに着替え、スカートと同色のツイード調のベストを羽織る。
背中まである焦げ茶色のストレートの髪の毛はバレッタで束ねた。
他の診療所はゴムで結ばねばならないという決まりもあると専門時代の友達に聞いた。
けれどその点、ここは寛容だ。院長の方針で事務員は結婚指輪はもちろん、華美ではないピアスとネックレスも許可されている。
ロッカーの内側の鏡で身だしなみを整える。
医療事務員は医師や看護師よりも先に患者さんと顔を合わせる立場だ。私たち事務員の振る舞いひとつでクリニックの印象が決まると言っても過言ではない。
数分後、他の事務員や看護師たちが更衣室へ駆け込んできた。
職員は既婚者で子持ちも多いため、それぞれ保育園や学校へ子供たちを送り出した後に出勤する。そのため、朝は戦争のように慌ただしいらしい。
「おはようございます」
「河合さん、おはよう~! 今日も早いわねぇ~!」
挨拶を交わした後、一足先に更衣室を出て外へ出る。
診療所の裏手にあるほうきと塵取りを手に取り、患者用の玄関の掃き掃除をしていると敷地の奥の家から男性が出てきた。
「矢崎先生、おはようございます」
「おはよう。今日はいい天気だねぇ」
歩み寄って来た矢崎先生は白衣に紺色のチノパン、それにサンダルという出で立ちだ。
御年六十歳ながら、マラソンが趣味でアクティブな先生は年よりずっと若く見える。黒い肌に無駄な脂肪のない筋肉質な体、姿勢も良く常にエネルギッシュなため、溌溂とした印象を受ける。
そんな見た目に反して、性格は穏やかで患者さんの話にも真摯に耳を傾けるため患者さんからの信頼も厚い。
診療所の敷地内には洋風な二階建ての家がある。息子たちはすでに巣立ち、そこで奥さんと愛犬と暮らしている。
「今日も一日よろしくね」
「はい」
診療所の裏口へ向かう先生を見送り手早く掃除を済ませた後、受付カウンターで開院準備を始める。
パソコンを起動させ、プリンター類の機械が正常に作動するか確認する。
ここで働く事務員は、私を含めて三人だ。四十代のベテラン鈴木(すずき)さんと私のふたつ年下の古関(こせき)さん。ふたりとも既婚者で子どもがいる。私とは年齢も違うが馬が合いプライベートでも食事に行くほど仲が良い。
翌朝、私は支度を済ませると若菜よりも早く家を出て職場である『矢崎ファミリークリニック』へ向かった。
私が勤める『矢崎ファミリークリニック』はその名の通り大人も子どもも家族全員を診ることができることを謳っている診療所だ。
院長の矢崎先生は海外で修行を積み、大学病院で長年勤務した後、地元に戻りこのクリニックを開設した。
家庭医としての知識と経験も豊富な矢崎先生の元、内科や小児科、皮膚科など診療科の枠にとらわれない総合的かつ身近な総合医療が行われている。
裏口の職員玄関から中に入り、更衣室へ行く。中はガランとしていて誰もいない。どうやら今日も一番乗りのようだ。
自分のロッカーから取り出した白いブラウスと黒いスカートに着替え、スカートと同色のツイード調のベストを羽織る。
背中まである焦げ茶色のストレートの髪の毛はバレッタで束ねた。
他の診療所はゴムで結ばねばならないという決まりもあると専門時代の友達に聞いた。
けれどその点、ここは寛容だ。院長の方針で事務員は結婚指輪はもちろん、華美ではないピアスとネックレスも許可されている。
ロッカーの内側の鏡で身だしなみを整える。
医療事務員は医師や看護師よりも先に患者さんと顔を合わせる立場だ。私たち事務員の振る舞いひとつでクリニックの印象が決まると言っても過言ではない。
数分後、他の事務員や看護師たちが更衣室へ駆け込んできた。
職員は既婚者で子持ちも多いため、それぞれ保育園や学校へ子供たちを送り出した後に出勤する。そのため、朝は戦争のように慌ただしいらしい。
「おはようございます」
「河合さん、おはよう~! 今日も早いわねぇ~!」
挨拶を交わした後、一足先に更衣室を出て外へ出る。
診療所の裏手にあるほうきと塵取りを手に取り、患者用の玄関の掃き掃除をしていると敷地の奥の家から男性が出てきた。
「矢崎先生、おはようございます」
「おはよう。今日はいい天気だねぇ」
歩み寄って来た矢崎先生は白衣に紺色のチノパン、それにサンダルという出で立ちだ。
御年六十歳ながら、マラソンが趣味でアクティブな先生は年よりずっと若く見える。黒い肌に無駄な脂肪のない筋肉質な体、姿勢も良く常にエネルギッシュなため、溌溂とした印象を受ける。
そんな見た目に反して、性格は穏やかで患者さんの話にも真摯に耳を傾けるため患者さんからの信頼も厚い。
診療所の敷地内には洋風な二階建ての家がある。息子たちはすでに巣立ち、そこで奥さんと愛犬と暮らしている。
「今日も一日よろしくね」
「はい」
診療所の裏口へ向かう先生を見送り手早く掃除を済ませた後、受付カウンターで開院準備を始める。
パソコンを起動させ、プリンター類の機械が正常に作動するか確認する。
ここで働く事務員は、私を含めて三人だ。四十代のベテラン鈴木(すずき)さんと私のふたつ年下の古関(こせき)さん。ふたりとも既婚者で子どもがいる。私とは年齢も違うが馬が合いプライベートでも食事に行くほど仲が良い。