【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
小春の退院前、一度だけ彼女の入院する病棟へ足を運んだ。入院患者が自由に出入りできる待合室に彼女はいた。
テーブルを挟んで彼女の向かい側にはふたりの女性がいた。恐らく、彼女の妹と祖母だろう。
まだ頭に包帯は巻かれているが、彼女は以前のような穏やかな笑みを浮かべながらふたりと談笑していた。
彼女が目の前で事故に遭った時は、正直生きた心地がしなかった。
今も記憶の一部が曖昧なようだが、大事には至らなかったことにホッと胸を撫で下ろす。
その時、彼女の妹が何気なく視線をこちらに向けた。目が合った瞬間、妹はなぜか驚いたように目を見開いた。
小春の妹と面識はないが、俺はそのまま逃げるように歩き出した。
小春が退院した後も、俺の頭の中にはずっと彼女の姿があった。
あれから何度も公園へ通ったが、小春がやってくることはなかった。恐らく俺のことも覚えていないだろう。
俺はしばらくどうしたらいいのかと頭を悩ませた。
彼女が事故にあったのは俺のせいだし、このまま彼女から手を引いたほうがいいのだろうか。
けれど、どうしても諦めきれない。
俺は今も彼女が好きだ。
あの日も、食事の後に彼女へ想いを伝えようと計画していた。
彼女をそっと陰で見守り支えられたら……。
そう考えた俺は彼女の勤める診療所の院長である矢崎先生に連絡を入れ、事情を説明した。
『俺は彼女を事故に遭わせてしまいました。その責任を取るつもりです』
『それは氷室くんのせいではないだろう。河合さんだって、君を責めたりはしないよ』
話を聞き終えた矢崎先生は俺の気持ちを汲んで励ましてくれた。
そんな時、院長から聞き捨てならないことを聞いてしまう。
小春がアパートのオーナーから言い寄られているのだという。
『今のところ河合さんに危害を及ぼしたりしていないからとやかく言うつもりはないんだけど……。ちょっと気になる言動があるんだ。それに、あまり良い噂を聞かない人だから心配でね』
院長の話を聞けば聞くほど、このまま放っておけないという気持ちが強くなった。
優しく純粋な彼女にもしものことが起こったら……。
記憶を失くした彼女と接触すれば、辛い事故の記憶が蘇ってしまうかもしれないと危惧し、遠くから見守ろうと考えた。
けれど、それでは彼女を守れない。
彼女への罪悪感を抱きつつも、誰にも渡したくないという気持ちと守りたいという気持ちが複雑に絡み合う。
『先生にお願いがあります』
そこで俺は小春との食事の場を設けてもらえるようにと、先生に頼んだ。
予想通り小春は俺のことを覚えてはいなかった。
俺は彼女と初対面の振りをしてまた一から関係を築くことにした。
今度こそ必ず口説き落として見せると意気込むも、食事中は会話が弾まなかった。
テーブルを挟んで彼女の向かい側にはふたりの女性がいた。恐らく、彼女の妹と祖母だろう。
まだ頭に包帯は巻かれているが、彼女は以前のような穏やかな笑みを浮かべながらふたりと談笑していた。
彼女が目の前で事故に遭った時は、正直生きた心地がしなかった。
今も記憶の一部が曖昧なようだが、大事には至らなかったことにホッと胸を撫で下ろす。
その時、彼女の妹が何気なく視線をこちらに向けた。目が合った瞬間、妹はなぜか驚いたように目を見開いた。
小春の妹と面識はないが、俺はそのまま逃げるように歩き出した。
小春が退院した後も、俺の頭の中にはずっと彼女の姿があった。
あれから何度も公園へ通ったが、小春がやってくることはなかった。恐らく俺のことも覚えていないだろう。
俺はしばらくどうしたらいいのかと頭を悩ませた。
彼女が事故にあったのは俺のせいだし、このまま彼女から手を引いたほうがいいのだろうか。
けれど、どうしても諦めきれない。
俺は今も彼女が好きだ。
あの日も、食事の後に彼女へ想いを伝えようと計画していた。
彼女をそっと陰で見守り支えられたら……。
そう考えた俺は彼女の勤める診療所の院長である矢崎先生に連絡を入れ、事情を説明した。
『俺は彼女を事故に遭わせてしまいました。その責任を取るつもりです』
『それは氷室くんのせいではないだろう。河合さんだって、君を責めたりはしないよ』
話を聞き終えた矢崎先生は俺の気持ちを汲んで励ましてくれた。
そんな時、院長から聞き捨てならないことを聞いてしまう。
小春がアパートのオーナーから言い寄られているのだという。
『今のところ河合さんに危害を及ぼしたりしていないからとやかく言うつもりはないんだけど……。ちょっと気になる言動があるんだ。それに、あまり良い噂を聞かない人だから心配でね』
院長の話を聞けば聞くほど、このまま放っておけないという気持ちが強くなった。
優しく純粋な彼女にもしものことが起こったら……。
記憶を失くした彼女と接触すれば、辛い事故の記憶が蘇ってしまうかもしれないと危惧し、遠くから見守ろうと考えた。
けれど、それでは彼女を守れない。
彼女への罪悪感を抱きつつも、誰にも渡したくないという気持ちと守りたいという気持ちが複雑に絡み合う。
『先生にお願いがあります』
そこで俺は小春との食事の場を設けてもらえるようにと、先生に頼んだ。
予想通り小春は俺のことを覚えてはいなかった。
俺は彼女と初対面の振りをしてまた一から関係を築くことにした。
今度こそ必ず口説き落として見せると意気込むも、食事中は会話が弾まなかった。