【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
第四章 明かされた真実
武尊さんが私にネックレスをくれたのは、あの日のキスの彼なりの罪滅ぼしだったんだろうか。
 彼には愛する人がいるし、そうだとしか思えない。
 けれど、愛する武尊さんからプレゼントをもらって嬉しくないわけがない。
 首元でネックレスが揺れる度に、私は彼を思い出して胸を熱くさせた。
 それから二週間が経った。
 この日の朝、出勤した私が診療所の外に出て掃き掃除をしている時、突然声を掛けられた。
「小春ちゃん」
「あっ、山田さん! おはようございます」
 笑顔で頭を下げると、山田さんが私の前まで歩み寄った。
「今日は早いですね。診察ですか?」
 不思議に思っていると、山田さんは穏やかに微笑んで首を横に振った。
「違うよ。最近、散歩が趣味でね。偶然通りかかっただけ」
「そうだったんですね」
「そういえば、小春ちゃん、結婚したの?」
「え……?」
「それ、結婚指輪でしょ? おめでとう」
 山田さんは私の左手を指差した。
「ああ……ありがとうございます」
 微笑みながらお礼を言うと、山田さんが唇を尖らせた。
「僕と小春ちゃんの仲なんだから、そういうことは早く教えて欲しかったよ。水臭いなぁ」
 山田さんは冗談ぽく言うも、私を見つめる視線は射貫くように冷たい。
「そうですよね、すみません……。山田さんには色々お世話になっていたのに……」
 武尊さんとの結婚が決まった時、山田さんに話そうかと悩んだ。院長や一緒に働く鈴木さんや古関さんに相談すると、『言わなくていい』とアドバイスをもらった。
 ただ山田さんには、私だけではなく妹や祖母もお世話になった。
 山田さんに結婚を告げない選択をしたものの、不義理を働き気を悪くさせてしまっただろうかと申し訳ない気持ちになる。
「本当にすみません。あっ、そろそろ戻らなくちゃ……。失礼します」
 丁寧に頭を下げると、私はホウキを片付けて開院準備を始めた。
 そしてその日の夕方、勤務を終えると院長が険しい表情を浮かべてスタッフを集めた。
「実は今日、ポストにこんな物が入っていたんだ」
 院長が取り出したA4用紙の紙には【河合小春は裏切者】と赤文字で印刷してあった。
「え……」
 途端、心臓がドクンッと震えた。スタッフたちはざわつき驚いたように一斉に私に目を向ける。
「院長先生……これって……」
 動揺しながらなんとか言葉を紡ぐ。
「宛名は不明だ。河合さんだけでなく、何か心当たりがある人がいたら教えてくれないか?」
 寒くもないのに膝が震え、指先が凍り付く。
 いったい誰がこんなものを……?
 その時、あることを思い出した。
「実は……以前から無言電話が……。その人かもしれません」
 院長や他のスタッフに掻い摘んで話すと、鈴木さんが励ますように私の背中を擦った。
とはいえ、非通知着信の無言電話が数回続き、さすがに気味が悪くなり拒否設定にしてある。
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