【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
「こんな卑劣なことするなんて絶対に許せない! ここいるみんなは全員河合さんの味方だからね!」
「そうですよ! 私達がいますから」
 古関さんも鈴木さんに続く。
「ありがとうございます」
 心強い言葉に励まされて、目頭がじんわりと熱くなる。
「河合さん、どうする? 警察に相談するかい?」
「いえ、まだそこまでは……」
 警察に通報すれば、調書を取る必要もありこの場にいる全員に迷惑をかけてしまうことになる。
 スタッフの中にはお子さんがいる人も大勢いる。お迎えの時間も迫り、これ以上引き留めるわけにはいかない。
「私は大丈夫です。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「そんな。河合さんが謝ることじゃないよ」
 院長の言葉に続き、他のスタッフも私を励ましてくれた。
 他のスタッフが出て行くと、院長が私の元へ歩み寄りこっそり「氷室くんに相談した方がいい」と告げた。
「彼は君の夫だろう。きっと力になってくれるはずだよ」
「でも、武尊さんに迷惑をかけたくないんです。このことは内緒にしておいてもらえませんか?」
「だけど――」
「お願いします」
 私が必死に頭を下げて頼むと、院長は渋々引き下がり「何かあればすぐに相談するように」と念を押した。
 更衣室に行き着替えをしている間も頭の中には【河合小春は裏切者】というあの言葉が頭から離れなかった。
 怪文書を出した人に心当たりはない。気付かぬうちに誰かに恨まれるようなことでもしてしまったんだろうか。
 悪意をある人物が病院までやってきてポストにあの怪文書を投函したのだと考えるだけで、恐怖で震えあがりそうになる。
 着替えを済ませロッカーの鏡にふと目をやった時、首元にネックレスがないことに気が付いた。
「えっ⁉」
 慌てて首筋を触るが、武尊さんにもらったネックレスがない。
「ど、どうしよう……」
 どこかで落としたのだろうか。着ていた制服のポケットなどを確認するも、ネックレスはない。
 真っ青になりながら受付や廊下、カルテ室や診察室などの床などを探すが見つからない。
 もしかしたら、掃除の時に落としたのだろうかと玄関周りも探すがどこにもない。
 時計の針はとっくに業務時間を過ぎている。今日、武尊さんは日勤でもう家に帰っているだろう。
 外はすでに真っ暗でスマホの灯りだけでネックレスを探すのは不可能だ。
 私は探すのを断念し、家を目指して歩き出した。
「……はる、小春」
「え?」
「どうした。さっきからずっと上の空だぞ」
 家に帰ってからも頭の中からネックレスのことが離れない。武尊さんに呼びかけられているのにも関わらず、全く気付かなかった。
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