【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
「証拠なら山ほどある。そんなこともあろうかと、矢崎先生に頼んで診療所内外に高性能の防犯カメラを複数つけてもらったんだ」
「なっ……!」
「あの診療所は矢崎先生が所有者だ。その敷地内で物を盗れば窃盗罪になる。ちなみに今朝、差出人不明の手紙をお前がポストに入れたのも防犯カメラに映っていたと先生から聞いている。言い逃れはできないぞ」
 私は驚いて武尊さんを見上げた。
 確かに私が結婚してから院内の監視カメラの数がやたらと増えた。
院長に尋ねると『ある人から寄付されてね。ありがたく使わせてもらうことにしたよ』と言っていた。それが、武尊さんだった可能性が高い。
 すると、遠くの方からサイレン音が聞こえてきた。
「ほ、本当に警察を呼んだのか⁉ これぐらいのことで……」
「……これぐらいのことだと。ふざけるな! お前にとっては軽い気持ちだったかもしれないが、小春がどれだけ怖い思いをしたか!」
 武尊さんが誰かに声を荒げたのを聞くのはこれが初めてだった。武尊さんのあまりの剣幕に山田さんが顔を強張らせる。
「小春はお前のことを優しいオーナーだと信じていたんだぞ! 彼女の気持ちを裏切り怖い思いをさせたことを今すぐここで謝れ!」 
「あっ……こ、小春ちゃん……。怖がらせるつもりはなくて……本当にごめん……」
 武尊さんに追い込まれて今にも泣き出しそうな顔の山田さんは腰を折って謝罪する。 
すると、パトカーが私達のそばで停まった。それを見た山田さんは唇を震わせて拝むように顔の前で手のひらを合わせて懇願した。
「ま、待ってくれ。じ、示談にしてもらえないだろうか? 金ならいくらでも――」
「金なんていらない。何度頼まれても絶対に示談になんてしないから覚悟しろ」
 武尊さんは頑なだった。
 真っ青な顔をした山田さんはその場にヘナヘナと座り込む。武尊さんから事情を聞いた屈強な警察官が山田さんの上着のポケットを漁ると、ポケットからは予想通り私が武尊さんにもらったネックレスが出てきた。
 それが動かぬ証拠となり、山田さんは事情を聞くために警察官に連行されていく。
「二度と小春に近付くな」
 落ち込む山田さんに追い打ちをかけるように、武尊さんは冷ややかにそう告げ山田さんを牽制したのだった。
『事情は後日ゆっくりと聞かせてください』と警察に言われ、私たちは帰路についた。
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