【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
「そうだったのか……。すまない……。小春に経験がないのを知らずに一方的にあんなことを……」
 あの晩のキスを思い出したのか、武尊さんは申し訳なさそうに頭を抱える。
 私は首を振って微笑んだ。
「謝らないでください。私もあの時……武尊さんとキスがしたかったので」
 勇気を出して思いを告げる。
 契約関係にあった私達が、ようやく両想いになれたのだ。
その喜びと同時に彼と心だけでなくさらに深いところで繋がり合いたいという気持ちが強くなる。
「私は武尊さんが好きです。だから、キス以上のことだって……」
「ま、待ってくれ。そんなことを言われたら、俺の理性が崩壊して抑えが利かなくなる」
 武尊さんは逡巡するように険しい表情を浮かべる。
「もちろん、俺だって小春と同じ気持ちだ。だが、急ぐ必要はない。俺は小春を大切にしたい。だから、小春が本当にしたいと思えるまで――」
 武尊さんの言いたいことは理解できた。
 ようやく気持ちが通じ合ったとはいえ、すぐに私に手を出すのは不誠実だと葛藤しているに違いない。
 勇気を出して放った言葉とは言え、焚きつけるようなことを言うべきではなかったのかもしれないと、恥ずかしさに顔が赤らんでいく。
 すると、私の表情に気付いた武尊さんがグッと私の腰を引き寄せた。
「でも、本当に望んでくれていることなら、俺は今すぐにでも小春を抱く」
 この場の雰囲気に流されているわけでも、彼に合わせているわけでもない。
 私は自分の意思で武尊さんを求めているのだ。
「はい」
 彼の目を見てこくりと頷くと、武尊さんは私の背中と膝の裏に腕を差し込んで軽々と抱き上げた。
「キャッ……!」
 武尊さんは何も言わずに私を抱いたままリビングを出て寝室へと足を向ける。
 彼の寝室のベッドにそっと体を下ろされる。丁寧な所作とは打って変わり、武尊さんの私を見下ろす瞳は熱を帯び、私を欲しがっているのが伝わってくる。
「小春、本当にいいんだな?」
 私の顔の横に手を置いて尋ねる武尊さんにこくりと頷く。
「今までずっとこうやって小春に触れたくてたまらなかったんだ。もう我慢しなくていいんだな……?」
 その言葉に答えるように、私は彼の大きな背中にそっと腕を回した。
「はい。もう……我慢しないでください」
その言葉を合図に彼の整った顔が近付き、唇が重なり合った。間髪入れずに唇を食まれあっという間に舌が差し込まれる。
「んんっ……」
 自分のものとは思えない甘い声が漏れる。
< 63 / 72 >

この作品をシェア

pagetop