【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
「終わった~!」
レセプト作業が無事に終わり、更衣室へ向かう。鈴木さんも古関さんも疲労困憊といった様子だ。けれど、今月も無事にレセプト業務をやり終えたと三人の間に達成感が広がる。
「ねえ、河合さん。山田さんのこと大丈夫なの?」
すると、制服のベストを脱ぎつつ鈴木さんが尋ねた。
「え、何がですか?」
「河合さんのことお気に入りみたいだけど、ちょっとアプローチの仕方がしつこいじゃない?」
「あ、私も同じこと思ってました。今日だって体調不良って言ってましたけど元気そうでしたよね。それに、院内にいる間ずっと河合さんのこと目で追ってたし」
古関さんが続く。
「お気に入りなんてそんな。山田さんは私の境遇を知って気遣ってくれているだけで、アプローチなんてしてませんよ」
山田さんは誰に対しても優しい人なのだ。
すると、鈴木さんと古関さんは目を見合わせて肩を竦めた。
「河合さんがそう言うならいいけど……。あなたはお人好しで人を疑うことを知らないから心配なのよ。何かあったら私達にすぐに相談してよね?」
「そうですよ。河合さんの優しさに付け込もうとする悪い人だっているんですから」
ふたりが心から私を心配してくれているのが伝わってくる。私は「ありがとうございます」とふたりにお礼を言って微笑んだ。
着替えを終えて更衣室を出ると、私はふたりに先に帰って欲しいと告げて院長室の扉をノックした。
「はい」
「河合です。先生、少しいいですか?」
「どうぞ、入って」
院長室の扉を開ける。室内は八畳ほどで少し狭い印象を受けるが、一応来客を迎え入れられるようにソファとテーブルが置かれている。
「座って?」
部屋の奥のパソコンデスクの椅子に座っていた院長は立ち上がってソファに座るように私を促した。
「すみません。来月の平日、妹の学校の授業参観があるんです。少し抜けても大丈夫でしょうか?」
「そうなんだね。もちろん大丈夫だよ」
矢崎院長にも私の家庭事情は話してある。若菜の学校の行事事には私が保護者として参加しているため、時々早退やお休みをもらっている。
「いつもご迷惑をおかけして申し訳ありません。よろしくお願いします」
「――河合さん」
頭を下げて立ち上がろうとした私を院長が呼び止めた。
「はい。何でしょうか?」
「突然なんだけどね、僕の教え子と会ってみる気はない?」
唐突な言葉に面食らう私を見て、院長はくすっと笑った。
「そんな反応になるのも無理はないけど、話だけでも聞いてくれない?」
「分かりました」
私がこくりと頷くのを確認すると、院長は淡々と説明を始めた。
お相手は高度な専門医療や救急医療を提供する大病院に勤める救急医らしい。
とにかくずば抜けて頭が良く、医師としても優秀で将来有望。さらには容姿端麗で完璧な男性だという。そんな男性ならば引く手数多ではないだろうかと訝しがる私に院長は言った。
「だけどね、ひとつだけ大きな問題があるんだよ」
「問題ですか?」
「そう。彼は堅物人間でね。そのせいでなかなか良縁にも恵まれないらしい」
院長は苦笑いを浮かべる。
レセプト作業が無事に終わり、更衣室へ向かう。鈴木さんも古関さんも疲労困憊といった様子だ。けれど、今月も無事にレセプト業務をやり終えたと三人の間に達成感が広がる。
「ねえ、河合さん。山田さんのこと大丈夫なの?」
すると、制服のベストを脱ぎつつ鈴木さんが尋ねた。
「え、何がですか?」
「河合さんのことお気に入りみたいだけど、ちょっとアプローチの仕方がしつこいじゃない?」
「あ、私も同じこと思ってました。今日だって体調不良って言ってましたけど元気そうでしたよね。それに、院内にいる間ずっと河合さんのこと目で追ってたし」
古関さんが続く。
「お気に入りなんてそんな。山田さんは私の境遇を知って気遣ってくれているだけで、アプローチなんてしてませんよ」
山田さんは誰に対しても優しい人なのだ。
すると、鈴木さんと古関さんは目を見合わせて肩を竦めた。
「河合さんがそう言うならいいけど……。あなたはお人好しで人を疑うことを知らないから心配なのよ。何かあったら私達にすぐに相談してよね?」
「そうですよ。河合さんの優しさに付け込もうとする悪い人だっているんですから」
ふたりが心から私を心配してくれているのが伝わってくる。私は「ありがとうございます」とふたりにお礼を言って微笑んだ。
着替えを終えて更衣室を出ると、私はふたりに先に帰って欲しいと告げて院長室の扉をノックした。
「はい」
「河合です。先生、少しいいですか?」
「どうぞ、入って」
院長室の扉を開ける。室内は八畳ほどで少し狭い印象を受けるが、一応来客を迎え入れられるようにソファとテーブルが置かれている。
「座って?」
部屋の奥のパソコンデスクの椅子に座っていた院長は立ち上がってソファに座るように私を促した。
「すみません。来月の平日、妹の学校の授業参観があるんです。少し抜けても大丈夫でしょうか?」
「そうなんだね。もちろん大丈夫だよ」
矢崎院長にも私の家庭事情は話してある。若菜の学校の行事事には私が保護者として参加しているため、時々早退やお休みをもらっている。
「いつもご迷惑をおかけして申し訳ありません。よろしくお願いします」
「――河合さん」
頭を下げて立ち上がろうとした私を院長が呼び止めた。
「はい。何でしょうか?」
「突然なんだけどね、僕の教え子と会ってみる気はない?」
唐突な言葉に面食らう私を見て、院長はくすっと笑った。
「そんな反応になるのも無理はないけど、話だけでも聞いてくれない?」
「分かりました」
私がこくりと頷くのを確認すると、院長は淡々と説明を始めた。
お相手は高度な専門医療や救急医療を提供する大病院に勤める救急医らしい。
とにかくずば抜けて頭が良く、医師としても優秀で将来有望。さらには容姿端麗で完璧な男性だという。そんな男性ならば引く手数多ではないだろうかと訝しがる私に院長は言った。
「だけどね、ひとつだけ大きな問題があるんだよ」
「問題ですか?」
「そう。彼は堅物人間でね。そのせいでなかなか良縁にも恵まれないらしい」
院長は苦笑いを浮かべる。