【執着兄弟の溺愛シリーズ】内緒の三つ子を出産したら、執念で見つけ出した凄腕パイロットから重たい独占愛を刻み込まれる
それから三年という月日が経った。
休日、俺は凛花がかつて暮らしていたであろうアパートの最寄りの駅の近くにあるカフェに足を運んだ。
住宅街にポツンッと佇む感じの良い店だった。
十月の空気は昼間とはいえ少しだけひんやりとしている。風が吹くと、乾いた落ち葉がアスファルトの上をカサカサと音を立てながら転がっていく。
温かいコーヒーを飲み体が温まったところで店を出ると、ふわりとキンモクセイの匂いがした。
「この香り……懐かしい」
凛花と一緒に過ごした楽しい記憶が蘇り、胸が熱くなる。
俺はいまだに凛花のことを忘れられず、再び出会える奇跡を願って彼女を探し回る日々を送っていた。
すると、前から二歳ほどの子どもを連れた母親が歩いて来た。
背丈から察するに双子だろうか。ふたりはお揃いのベージュ色のクマのパーカーを羽織っている。
兄夫婦の子どもが双子ということもあり、親近感が湧き上がる。大和と和香にもこんな時があったなと懐かしく思い、つい頬が緩む。
「琉翔、危ないよ。ちゃんとママと手を繋いで」
「やあだあ! ひとりであるく!」
母親が声を発した瞬間、俺は目を見開いた。溌溂とした張りのあるその声に聞き覚えがあった。
女性は子どもたちに気を取られ、俺の存在には気付いていない。
まさかと通り過ぎていく女性に目を向けると、雷に打たれたような衝撃が走った。
幼い子どもの手を引いて歩いているのは、まぎれもなく三年間探し続けていた凛花だった。
凛花だ……。三年間探し続けていた凛花が手を伸ばせば触れられる距離にいる。
止まっていた時計の針が動き出したみたいだ。。
彼女を追いかけようとしたものの、動揺しすぎて一歩を踏み出す足が重たい。
叫んで今すぐ呼び止めようとするも、喉が焼けるように熱くなった。
「あ……!」
すると、凛花が短い声を上げた。子どもがぐずり彼女の手を振り払って駆け出したのだ。
「琉翔!」
彼女の叫び声にハッとする。前方から歩道を走ってくる違法自転車が目に留まった。若い男性はスマホに夢中だ。このままでは子どもが自転車にぶつかってしまう。
「だ、誰か!」
脚力には自身があった。俺は勢いよく彼女たちの脇を駆け抜け、自転車に衝突する寸前で男の子に手を伸ばして、小さな体を抱き寄せた。
「危ないだろう! ここは歩道だぞ!」
「す、すみません……」
思わず怒鳴ると、自転車に乗った男性は慌てたように逃げていった。
すると、もうひとりの男の子を抱えた凛花がこちらに駆け寄ってきた。凛花はしゃがみこんで「琉翔、ごめんね。ママが手を離したから……」と大切そうに小さな体を抱き締めた。
三年前の出来事が瞼に浮かび、今も変わらぬ彼女の姿にじんわりと胸が熱くなる。
凛花はふたりの手をしっかり握って立ち上がり、俺に深々と頭を下げた。
「息子を助けて下さってありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいか……」
お礼を言った凛花は俺と目が合うなり言葉を失った。
休日、俺は凛花がかつて暮らしていたであろうアパートの最寄りの駅の近くにあるカフェに足を運んだ。
住宅街にポツンッと佇む感じの良い店だった。
十月の空気は昼間とはいえ少しだけひんやりとしている。風が吹くと、乾いた落ち葉がアスファルトの上をカサカサと音を立てながら転がっていく。
温かいコーヒーを飲み体が温まったところで店を出ると、ふわりとキンモクセイの匂いがした。
「この香り……懐かしい」
凛花と一緒に過ごした楽しい記憶が蘇り、胸が熱くなる。
俺はいまだに凛花のことを忘れられず、再び出会える奇跡を願って彼女を探し回る日々を送っていた。
すると、前から二歳ほどの子どもを連れた母親が歩いて来た。
背丈から察するに双子だろうか。ふたりはお揃いのベージュ色のクマのパーカーを羽織っている。
兄夫婦の子どもが双子ということもあり、親近感が湧き上がる。大和と和香にもこんな時があったなと懐かしく思い、つい頬が緩む。
「琉翔、危ないよ。ちゃんとママと手を繋いで」
「やあだあ! ひとりであるく!」
母親が声を発した瞬間、俺は目を見開いた。溌溂とした張りのあるその声に聞き覚えがあった。
女性は子どもたちに気を取られ、俺の存在には気付いていない。
まさかと通り過ぎていく女性に目を向けると、雷に打たれたような衝撃が走った。
幼い子どもの手を引いて歩いているのは、まぎれもなく三年間探し続けていた凛花だった。
凛花だ……。三年間探し続けていた凛花が手を伸ばせば触れられる距離にいる。
止まっていた時計の針が動き出したみたいだ。。
彼女を追いかけようとしたものの、動揺しすぎて一歩を踏み出す足が重たい。
叫んで今すぐ呼び止めようとするも、喉が焼けるように熱くなった。
「あ……!」
すると、凛花が短い声を上げた。子どもがぐずり彼女の手を振り払って駆け出したのだ。
「琉翔!」
彼女の叫び声にハッとする。前方から歩道を走ってくる違法自転車が目に留まった。若い男性はスマホに夢中だ。このままでは子どもが自転車にぶつかってしまう。
「だ、誰か!」
脚力には自身があった。俺は勢いよく彼女たちの脇を駆け抜け、自転車に衝突する寸前で男の子に手を伸ばして、小さな体を抱き寄せた。
「危ないだろう! ここは歩道だぞ!」
「す、すみません……」
思わず怒鳴ると、自転車に乗った男性は慌てたように逃げていった。
すると、もうひとりの男の子を抱えた凛花がこちらに駆け寄ってきた。凛花はしゃがみこんで「琉翔、ごめんね。ママが手を離したから……」と大切そうに小さな体を抱き締めた。
三年前の出来事が瞼に浮かび、今も変わらぬ彼女の姿にじんわりと胸が熱くなる。
凛花はふたりの手をしっかり握って立ち上がり、俺に深々と頭を下げた。
「息子を助けて下さってありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいか……」
お礼を言った凛花は俺と目が合うなり言葉を失った。