【執着兄弟の溺愛シリーズ】内緒の三つ子を出産したら、執念で見つけ出した凄腕パイロットから重たい独占愛を刻み込まれる
「何が心配で……よ。自分だけ幸せになろうなんて許さないから!」
「え……?」
 すると、末藤さんがキッと凛花を睨みつけて怒鳴りつけた後、素早く右腕を振り上げて凛花の頬めがけて振り下ろした。
「やめろ!」
 俺は弾かれたように腕を伸ばす。
 凛花がギュッと目をつぶり首を竦める。手のひらが顔にぶつかる直前、俺は彼女の手首を掴んだ。
「そこまでだ」
 グッと力を込めて静かに威圧をかけると、末藤さんは悔しそうに奥歯を噛み締めて俺の手を振りほどいた。
「翔真さん……私……」
 凛花は状況がいまいち呑み込めないのか、驚いたように目を見開く。
 すると、保育士仲間が「凛花先生! 大丈夫?」と凛花を庇うように周りを囲み、誹謗中傷の犯人が末藤さんだったと告げた。
「そんな……。成美、どうして……?」
 凛花は友達だと思っていた末藤さんに裏切られたことを知り愕然とした。
「ずーっとアンタのことが嫌いだったの。ちょっと仕事ができるからってみんなにチヤホヤされて偉そうにしててさ。でも、残念でした。今後、保護者はアンタを『不倫女』って疑いの目で見るわよ。もうここでは働けないかもねっ?」
 すると、吐き捨てたように言う末藤さんに凛花は立ち向かった。
「私は誓って不倫なんてしてない。ちゃんと誤解だって説明すれば、保護者の皆さんにもきっと分かってもらえる」
「それはどうかなぁ~?」
「成美の思い通りにはさせない」
 凛花は真っすぐ末藤さんを見つめて対峙した。
 それでも末藤さんは涼しい顔を崩さない。
 ふざけるな。
 俺は心の中で吐き捨てた。
 今後彼女を野放しにすれば、凛花はもちろん三つ子にも危害が加わる恐れがある。 
「警察を呼んでください」
 堪忍袋の緒が切れた俺の言葉に、末藤さんがハッとする。
「……は? 警察……?」
「実は、君のことをあらかじめ調べさせてもらった。お父さんが警察官なんだってね。迷惑をかけることになると思うけど、反省する態度も見られないし仕方ないね」
「や、やめてよ! パパは関係ないでしょ⁉」
 すると、先程の強気な態度とは一転し、分かりやすく狼狽し始めた。
 彼女が父親に弱いというのも分かっている。だからこそ、彼女に一番ダメージを与える方法を取った。
「関係あるよ。今までの報いは全て受けてもらう」
 その後、彼女は通報を受けた警察官から事情を聞かれて頭を抱えた。
 俺はその間に凛花にすべての事情を話した。そして、俺と凛花が三年間離れ離れになったキッカケが末藤さんにあると告げた。
「凛花、ごめん。私が悪かったから。だから、お願い……私を許して」
 末藤さんは涙を零して必死になって凛花に謝る。この期に及んでも優しい彼女なら謝れば許してくれると甘い考えを捨てきれないんだろう。
「成美のしたことは絶対に許せない」
 凛花が首を横に振ると、末藤さんは観念したように頭を垂れた。
 しばらくすると、彼女の父親がやってきた。その顔は怒りで赤く染まっていた。その場で父親にこっぴどく叱られ、末藤さんは今までの行いを後悔するようにボロボロと涙を流した。
 さらに父親は俺と凛花に謝罪し、二度とこのようなことが起こらないように園を辞めさせて自分がしっかり監視すると約束してくれた。

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