【執着兄弟の溺愛シリーズ】内緒の三つ子を出産したら、執念で見つけ出した凄腕パイロットから重たい独占愛を刻み込まれる
「初めまして。翔真の兄で氷室武尊です」
 武尊さんは私をじっと見つめて「どこかで会いしましたか……?」と尋ねた。
「いえ、多分人違いかと思いますが……」
「そうですよね。すみません。ああ、それから妻の小春です」
「凛花さん、初めまして。今日はお招きいただきありがとうございます」
 丁寧に頭を下げてふんわりと柔らかな笑みを浮かべる小春さん。それは以前翔真さんと一緒にいた女性だった。
「こちらこそお忙しい中ありがとうございます。お会いできて嬉しいです」
 互いに挨拶を済ませた後、私は子どもたちに目を向けて「こんにちは」と笑顔で挨拶した。
「こんにちはっ!」
「わぁ、大和くんと和香ちゃん、大きな声でご挨拶できて偉いねぇ」
 彼らと同じ目線になって頭を撫でる。
「そうそう。うちにはね、晴翔と奏翔と琉翔っていう三つ子がいるの。よかったらあっちで一緒に遊んでくれる?」
 三つ子は翔真さんと一緒に庭の砂場で遊んでいる。
「うん! あそぶ!」
 二人がパタパタと駆けて行くのを見届けた後でハッと我に返る。
 ついつい保育士の癖が出てしまった。
「す、すみません。馴れ馴れしくしてしまって……」
「そんな! 翔真さんから凛花さんの話はよく聞いています。さすがは保育士さんですね。子どもへの対応がさすがだなって感心しちゃいました。子育てについて色々教えてください」
 その様子を見ていた小春さんが穏やかに言う。小春さんは私からするとお義姉さんに当たる。
 翔真さんからは優しい人だとあらかじめ聞いていたものの、会うまではドキドキしていた。けれど、杞憂だったようだと胸を撫で下ろす。
「そんなそんな!」 
 謙遜していると、「凛花」と名前を呼ばれた。やってきたのは兄だった。
 翔真さんのご家族とは初めて顔を合わせることになる。気合を入れて来たのか、兄は珍しくビシッと髪を整えていた。
「お兄ちゃん、紹介するね。翔真さんのお兄さんの武尊さんと、奥さんの小春さんだよ」
「初めまして。凛花の兄の藍沢陸人で――」
 よそゆきの顔で挨拶をした瞬間、何かに気付いた兄の笑顔が凍りついた。
「おい、藍沢じゃないか」
 すると、武尊さんが兄の顔をまじまじと見つめた。
「え……氷室……? 待て、嘘だろ。そんな偶然があるのか?」
 兄が目を見開く。
話を聞くとふたりは偶然にも救急医として同じ病院で働いているらしい。
二人は親戚になったことをここで初めて知り、驚愕していた。
< 66 / 70 >

この作品をシェア

pagetop